- 著者
-
岩井 茂樹
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2005
成果として公表する明代徽州文書中の裁判関係資料にっいて校訂作業をおこなった。この作業は海外共同研究者阿風副研究員と共同でおこなった。また,写真版では対校不可能な箇所については,2006年9月に北京の第一歴史梢案館および社会科学院歴史研究所において,文書の実物を調査して入力済みのデータを校訂した。南京大学歴史学系資料室所蔵の文書については,海外共同研究者范金民教授に依頼して写真を入手してデータの校訂に用いることができた。同資料室所蔵の『不平鳴稿』についても,評点および校訂を加えてデータに加えることができた。こうした作業をへて,文書の本文の移録データの信頼性を高めるとともに,所蔵情報および『徽州文書類目』における標題,原文書の寸法や状態,写真版の有無など書誌情報を充実させた。このデータはXML文書として作成し,このXML文書にたいしXSLTスタイルシートを適用して印刷用のデータおよびWeb上での検索・閲覧用データを生成する。スタイルシートの開発および印刷用の版下作成作業を完了した。これら文書の移録に研究代表者岩井と阿風の執筆した研究論文を添えるかたちで,周紹泉・阿風・岩井茂樹輯校『明代訴訟文書--校訂と研究--』を刊行した。移録本文の作成にさいしては,手書き文字であることに留意して,原文書の字体における筆画の省略や文字構成要素の形態に接近した字体を用いることとした。このため,移録電子本文は大量の異体字を含むこととなった。1これを検索して適切な結果を得るためには,異体字相互の関係を知るためのシソーラスおよび異体字を同一視して検索するプログラムが必要となる。このプログラムをJava言語によって開発し,Web上での検索・閲覧を提供するサーブレーットに組みこむための作業をおこなった。