著者
山本 健司 藤原 健一 家納 有美子
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.247, 2016 (Released:2020-08-08)

目的 夜間覚醒中に問題行為(啼泣、自傷、大声)のある患者に対し音楽による睡眠の効果を明らかにする 方法 対象:夜間覚醒中に問題行為のある患者5名 方法:小林弘幸著『ぐっすり眠るためのCDブック』付録のCD音楽を、ベッドサイドにて音量31〜35dBで消灯時間21時〜翌朝7時まで流す。 期間:1)音楽なし 平成27年11月24日〜12月7日の14日間 2)音楽あり 平成27年12月25日〜平成28年1月7日の14日間 評価:睡眠時間、中途覚醒の回数、問題行為の回数、眠剤使用の回数 結果 睡眠時間に変化がなかったのは患者aとbであった、患者aは睡眠時間、中途覚醒の回数、問題行為の回数に変化はなかったが、眠剤の使用回数が減少した。患者bは中途覚醒が増加し、問題行為も増加した。患者cとdは中途覚醒は増加したが、再入眠までの問題が短縮され睡眠時間が増加した。患者eは睡眠時間が減少し、中途覚醒と問題行為も顕著に増加した。 考察 患者aは、啼泣の持続により緊張・チアノーゼ出現するため眠剤を使用していたが、音楽導入後、眠剤の使用回数が減少した。また、患者cとdは、再入眠までの時間が短縮され睡眠時間が増加している。これは音楽により副交感神経が優位となりリラックスできたためと考える。患者bとeは、中途覚醒と問題行為が増加しており、音楽が刺激となって睡眠に悪影響が出たと考える。遠城寺式発達検査の言語理解は10カ月ごろから始まる。音楽により何らかの効果が見られた3名は、患者aは1歳〜1歳2カ月、患者cは2歳〜2歳3カ月、dは10〜11カ月で、言語理解が10カ月以上であった。それに対し患者bは5〜6カ月、患者eは4〜5カ月で、音楽が楽しい刺激となり睡眠の妨げられたと考える。 結論 睡眠を促す音楽は、遠城寺式発達検査の言語理解が10カ月以上の重症心身障がい児(者)に効果がある。
著者
針替 明世 藤原 健一 葛西 真理 岩佐 博人 吉村 哲明
出版者
弘前医療福祉大学紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学紀要 (ISSN:21850550)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.27-32, 2015-03-31

死生観とは生と死についての個人の考え方であり、独自の死生観の形成は、患者の捉え方や接し方等の医療の質の向上につながる。一方、死生観は生きがい感や自殺関連行動と関連すると言われており、作業療法教育において学生の死生観を育む意義は大きいものであると推察される。そこで本研究では、作業療法学生を対象に死生観と関連要因について、生きがい感、不安感、感情調整能力として感情労働を調査した。その結果、死生観は、生きがい感、不安感、感情調整能力と相関関係が認められた。しかし、死生観は、死別経験や介護経験、長期臨床実習の経験の有無では有意差が認められないことから、死生観は死別や臨床実習といった経験からの影響を受けにくいことが考えられ、死生観教育の必要性が示唆された。