著者
桑島 進 萩原 秀樹 岩坂 直人
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.219-230, 1996
参考文献数
6
被引用文献数
4 1

A FDR (flight data recorder) of air plane is well known to be a useful instrument to review a flight especially in the case of accidents. But the ship does not have such a useful recorder. That is the reason why such recorder was not essential for ship to merely sail and moreover many sensors to measure phenomena in ocean were not developed yet. But recently an occasion of the accident of Ro-Ro passenger ship [Estonia] in Baltic Sea, the requirement of VDR (Voyage Data Recorder) is on the rise in all over the world. So, we tried to develop VDR with up-to-date sensor and computer techniques. At first we formed a clear conception of VDR with reference to FDR and other recorders. Then concerning about wish of use and desirable function of VDR, we asked intention of users who are in various field of industry including shipping Co. using the questionnaire method. And finally we proposed a modern VDR with many suitable functions for each user based on our own concept.
著者
岩坂 直人
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.197-211, 2009-05-05

太平洋の気象観測ブイの計測値を用いて,海上気温の平均的な日変化について調べた。平均的な気温日変化は,地方時5時前後に最低値,15時から16時頃に最高値を取り,日較差は0.3〜0.8K程度であった。大気潮汐が顕著な海域では午前の昇温が強調され,逆に午後の最大は多少抑制される。しかし,そのような平均的日変化が日々の気温の日変化を代表するのは,赤道域中央,東部など天気の安定している海域だけである。赤道太平洋西部や中高緯度の海域では活発な対流活動や総観規模擾乱,季節内振動などに伴う温度変化と思われる変動が卓越し,一日の最高,最低気温の差は平均的日較差より1桁大きい。なお,過去の研究でも指摘されているが,いくつかのブイの気温観測値には正のバイアスが午前と午後に現れていることが疑われ,その大きさは平均で0.1〜0.2K程度に及ぶ可能性がある。
著者
谷本 陽一 岩坂 直人 花輪 公雄
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.831-849, 1997-08-25
被引用文献数
6

北太平洋における海面水温場と大気循環場、風の応力場、正味の海面熱フラックス場との関係をENSOサイクルの時間スケール(3年から5年)とdecadalの時間スケール(5年以上)に分けて調べた。このために、海面水温、風の応力場、正味の熱フラックス場における緯度経度5度格子月平均値データセットを1951年から1990年の40年にわたって新規に作成した。大気循環場のデータにはNMC作成の月平均値データセットの同期間分を使用した。冬季の海面水温場における10年変動に対応して、大気循環場にはその活動中心域を150°W-170°W帯におくPacific/North American(PNA)とよく似たパターンが卓越する。風の応力場では、それと整合するように、中部北太平洋の海面水温が気候値より低い(高い)期間に偏西風が強く(弱く)またその中心帯は南下(北上)している。これら大気側の変化に伴い、海面での活発な(不活発な)熱放出と海洋表層でのより強い(弱い)エクマン輸送が引き起こされる。これに対し、ENSOサイクルの海面水温変動に対応する大気循環場では別のパターンのWestern Pacific(WP)に近いパターンが卓越する。ENSOのwarm epispdes時には中部北太平洋付近の海面水温は気候値より低くなり、西部北太平洋では高くなる。この際、偏西風は下流で蛇行を示し、中部北太平洋で強く偏西風の中心帯は北上し、西部北太平洋では弱まり中心帯が南下する。この風系の変化は西部太北平洋での熱放出を押さえ、この海域での正偏差をもたらす。ENSO cold episodes時にはほぼ逆の結果を示す。10年スケールとENSOスケールの時間スケール間における海面水温アノマリの空間構造の違いは大気大循環場における違い、つまりPNA-likeパターンとWP-likeパターンのどちらが卓越しているかに結びついている。また、それに伴う風系の変化により、海洋からの熱放出、エクマン輸送と言った水温偏差を形成する過程も時間スケール間で異なっていると考えられる。