- 著者
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岩城 直幸
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.2, pp.147-151, 2023-06-30 (Released:2023-07-18)
- 参考文献数
- 3
当指定自動車教習所は, 高次脳機能障害者に対して, 運転適性検査器と実車評価を行っている。これまで種々の事例を分析したところ, 運転適性検査器は, 神経心理学的検査と実車評価の中間的役割を果たすことが可能な評価であると考えられた。このことから, 高次脳機能障害者に対しては, 神経心理学的検査, 運転適性検査器, 実車評価を関連付けて分析し, 多職種連携のもと, 個々人の運転再開について検討することが, 評価としての妥当性や信頼性を高めることにつながるものといえる。なお, 数十年の運転経験を有しており, 運転について一定の知識や技能を有していることが想定される高次脳機能障害者に対する実車指導は, 経験上, 心理的リアクタンスを低減させ, 指導の効果を持続させるため, GROW モデルを例にした質問による能動的学習が効果的である。