著者
外川 佑 村山 拓也 岩城 直幸 山崎 佳与 﨑村 陽子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.372-379, 2022-06-15 (Released:2022-06-15)
参考文献数
20

自動車運転再開支援では,対象者の運転能力を包括的に捉えることが求められる.今回,過去3回の運転評価で全般性注意機能低下と危険運転行動により運転再開不可とされた70代男性に対し,交通心理学のアプローチを用いた介入を実施した.当院における院内初期評価ではSiDSのタイミング検査や反応時間の遅延,教習所内コース評価では一時停止やカーブ進入前のブレーキ操作の遅れ,自身の運転のモニタリングの不十分さが観察された.交通心理学のアプローチに基づくブレーキ操作の反復訓練と教習指導員による公道での実地走行の結果,ブレーキ操作や運転パフォーマンス,自身の運転に関するメタ認知に変化を認め,最終的に運転再開に至った.
著者
外川 佑 村山 拓也 佐藤 卓也 﨑村 陽子
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.599-608, 2017-12-15

要旨:本研究では,半側空間無視(以下,USN)軽度3症例の自動車運転評価結果を分析し,評価中の行動面の特徴に加え,運転再開につながる要因を見出すことを目的とした.全症例のBITがカットオフ値以上を示す一方で,シミュレータ検査や実車評価での車両位置偏位,車線左への脱輪,右方向への接触などの特徴が観察された.また,再評価で運転再開可能となった症例では,運転に関する自己認識の改善がみられ,さらに全般性注意機能の改善が方向性注意機能の低下を補完した可能性が示唆された.USN軽度例の自動車運転評価では,シミュレータ検査や実車を用いて,潜在化したUSN症状のみならず,全般性注意機能の低下や病識の問題にも着目すべきである.