著者
水野 勇 岩崎 洋平 金子 豊久 栗山 繁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.1319-1328, 2004-06-01
参考文献数
19
被引用文献数
4

本研究は変形を伴う柔らかい3次元物体をモデル化し,様々な外力による変形操作を容易に行う手法を提案する.対象物として球・立方体などの仮想物体のほか,人間の顔頭部を取り上げる.柔らかい物体の表現法として,ばねネットワーク(ばねモデル)を用いる.CT画像をもとに,最密構造を初期配置としバブルメッシュ法を利用し頭部領域を四面体メッシュに分割し,均一なばね長をもつばねモデルを構築する.変形シミュレーションにおいては,ばね力と体積保持力を考慮した柔らかい物体の変形を表現する.手と顔表面などの柔らかい物体相互の接触による反力,または垂直抗力を算出し,それぞれの物理現象を表現する.球と立方体の接触による変形を確認した後,人間頭部モデルに対し,手モデルによる外力を加えるシミュレーションを行い,頭部モデルと手モデル両者ともに体積を保存しつつ変形を表現することができた.更に摩擦力を導入して,唇を押し上げる,引っ張るといった様々な変形操作の物理シミュレーションを行い,提案手法が有効であることを確認した.
著者
岩崎 洋平 岩井 智成
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-8, 2013-06-17

本研究では,複合現実感 (MR) を用いた図書館利用者のための MR サービスシステム:MR Librarian System (MRLS) を開発するためのフレームワークについて検討する.MRLS では,MR Librarian (MR 司書:MRL) と名付けたアバターを介して,2 つの図書館サービス (蔵書検索および入館・貸出履歴管理) をユーザに提供することを目指している.蔵書検索サービスでは,ユーザの探している図書が置かれている書棚までのナビゲーション情報を MR 表示された MRL によってユーザに呈示する.また,入館・貸出履歴管理サービスでは,ユーザの入館履歴や貸出履歴のデータを分析して,貸出図書の嗜好や入館の傾向などを MRL の変化として呈示する.さらに,本システムを図書館利用率向上のための (金銭や物品を伴わない) インセンティブ・プログラムとして機能させることについても検討を進めている.本稿では,それぞれのサービスシステムの開発について述べるとともに,本システムのインセンティブ・プログラムとしての有効性を検討するために行ったアンケート調査の結果についても述べる.We have developed a MR Librarian System (MRLS) using Mixed Reality (MR) technology. This system provides users two kinds of services called library search and admission and lending history management, which introduces an avatar called MR Librarian. Former service is composed of the system that provide navigation for bookshelf on which the target book is placed with MR technology. Admission and lending history management services is supply an avatar visualization engine, which can customize the dress and accessory of an avatar according to the preference of borrowed books. By offering these services, MRLS aims to increase the users' incentive and improves the library services. This article reports the development of MRLS, and experimentally evaluate its validity through questionnaire survey.
著者
岩崎 洋平 西村 壮平 小薗 和剛
出版者
熊本高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,複合現実技術を利用したMR 実験室を構築した。この実験室では,ARToolKitにより複合現実環境を実現し,実験機器や結線をCGオブジェクトとして,現実環境(机上)に重畳表示あるいは液晶ディスプレイに表示する。これにより,安全性の高い実験環境を容易に構築することができる。また,マーカを操作のためのユーザインタフェースとして扱うことにより,現実の実験と同様に,複数の実験者がグループで協力しながら実験を実施できる環境を提供することが可能となった。さらに,実験結果を仮想的に表現することで,外乱などの影響を受けない状態での結果を,分かりやすく実験者に提示し,効率的な学習のための実験環境を提供することが可能となる。