- 著者
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中村 光
岩永 可奈子
境 泉洋
下津 咲絵
井上 敦子
植田 健太
嶋田 洋徳
坂野 雄二
金沢 吉展
- 出版者
- THE JAPANESE ASSOCIATION FOR MENTAL HEALTH
- 雑誌
- こころの健康 : 日本精神衛生学会誌 (ISSN:09126945)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.2, pp.26-34, 2006-12-30
本研究の目的は, ひきこもり状態にある人を持つ家族の受療行動に影響を及ぼす要因を明らかにすることであった。ひきこもり親の会 (セルフヘルプグループ) に参加している家族153名から自記式質問紙による回答を得た。その結果, 以下のことが明らかにされた。(1) 家族の85.6%がひきこもり状態を改善するために相談機関を必要としている。(2) 精神疾患に対する偏見が家族の受療行動を阻害する可能性がある。(3) 相談機関の存在や所在地を知っていることが, 家族の受療行動を促進する可能性がある。(4) 家族にとって保健所や精神保健福祉センター, 電子メールによる相談は利用しにくく, 反対に電話相談は利用しやすい可能性がある。(5) ひきこもり状態にある本人が相談機関来所を拒否すると, 家族の受療行動を阻害する可能性がある。調査結果の検討を通して, ひきこもり状態にある人を持つ家族の受療行動を促進する方法が議論された。