著者
増田 富士雄 宮原 伐折羅 広津 淳司 入月 俊明 岩淵 洋 吉川 周作
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.482-488, 2000-07-15
被引用文献数
13 21

神戸沖の大阪湾底で掘られたコアの完新統の部分について, 堆積相解析を行い, 高密度の^<14>C年代値と相対的海水準変動から, 次のような完新世の大阪湾の海況変動を復元した.11000年前に海面高度は約-50 mにあった.海進に伴い後退する三角州はエスチュアリーとなった.海面高度が約-30 mに上昇した9700年前に, 明石海峡での潮流が発生した.海面高度が約-12 mになると, 淀川河口が河内湾に退き, 備讃瀬戸が繋がり, 現在のような瀬戸内海が成立した.この時から約3000年前まで, 大阪湾全体が強い潮流の影響下にあった.5300年前〜5000年前が大阪湾では最も海面が高い時期であった.1700年前頃に, 河内湾が埋め立てられ, 淀川三角州が大阪湾にまで前進し, 1000年前には神戸沖にまでその影響がおよぶようになった.
著者
岩淵 洋
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.303-314, 2000-08-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
31
被引用文献数
5 7

内湾に潜在する活断層の検出と,基盤の形状を明らかにすることを目的として,大阪湾および伊勢湾において反射法音波探査を実施した.大阪湾には,大阪湾断層,津名沖断層のほか,いくつかの活断層が潜在している.活断層が基盤に変位を及ぼしているために,大阪湾の基盤形状は複雑であり,これを埋積する堆積層の厚さは2,700m以上に達する.大阪湾断層の北部で行ったボーリング調査では,断層が千数百年前に活動したことが示唆される.伊勢湾には伊勢湾断層,鈴鹿沖断層,白子-野間断層が伏在している.伊勢湾においても,基盤形状は複雑である.堆積層の厚さは1,700m以上ある.伊勢湾断層北部におけるボーリング調査では,断層が更新世後期以降動いていないことが明らかとなった.
著者
岩淵 洋 向山 建二郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.8, pp.531-534, 2006 (Released:2006-12-02)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

Elongated trough-like depressions were discovered on the shelf break, southwest off the Kyushu. Each depression is 200−250 meters in width, hundreds meters to 2 kilometers in length and 10−20 meters in relative depth. The depressions are discontinuously aligned for 18 kilometers parallel to the strike of the shelf slope. The shelf and upper shelf slope consist of a deposit of the Pleistocene Ito pyroclastic flow in origin. The distribution of the depressions and geological information indicate that the depressions are not any of erosional features by tidal currents or gravitational flows, but “crown crack”, which is a kind of tensional cracks on the top of a submarine slide body during the initial stage of sliding.