著者
岩田 義弘 長島 圭士郎 服部 忠夫 寺嶋 万成 清水 雅子 木原 彩子 三村 英也 堀部 晴司 岡田 達佳 加藤 久幸 櫻井 一生 内藤 健晴 大山 俊廣 戸田 均
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6Supplement2, pp.S128-S135, 2007-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
9

誤嚥はみられないが、嚥下時に咽頭-喉頭に異常感を訴える4名の高齢者に、症状の改善を目的に、訓練を行った。咽頭食道透視にて訓練を行った前後の比較を行った。訓練は対象者に下顎を胸の方向に強く持続牽引してもらい、施術者が頤部に手を固定し用手的に、下顎を短時間伸展するように牽引した。この操作により、2名において造影剤の通過時間の短縮がみられた。またこの訓練により、4例とも安静時の甲状軟骨の位置が高くなった。また軟口蓋の咽頭閉鎖も改善がみられた。簡易な訓練ではあるが、低くなった喉頭の位置の改善とそれによる誤嚥抑制の効果が期待された。
著者
岩田 重信 岩田 義弘 大山 俊廣 門山 浩 斎藤 正治 高須 昭彦
出版者
日本喉頭科学会
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-7, 1998-06-01 (Released:2012-09-24)
参考文献数
18

The electroglottogram (EGG) has been used to obtain details of vocal fold vibration. Applications of the EGG, however, are limited in use for voice disorders since characteristics of EGG waveforms associated with vocal fold vibrations are still poorly understood. We analysed the EGG waveform characteristics to compare them with simultaneous measurements of supra and subglottic pressure in the normal male subject sustaining the vowel /a/ at constant pitch with different intensity levels. The results are : The periodicities of the consequent frequency are completely coincident among the EGG wave, supra and subglottic pressure waveforms at different intensity levels. With regard to the amplitude variations of the EGG waveform in the vocal cycle, the increasing amplitude corresponded with a rapid increase of subglottic pressure and a decrease of supraglottic pressure which is indicative of the closing phase of the vocal folds. The gradual fall of amplitude associated with the parting of the vocal folds corresponded with an increase of supraglottic pressure from negative values and maintenance of negative subglottic pressure. The negative flatter portion of EGG wave corresponding to the opened phase exhibited higher positive supra glottal pressure and lower pressure of the subglottic even at different sound pressure levels. When increasing the intensity during constant pitch phonation, the values of the contact quotient and contact speed index decreased, and the contact closing slope became steeper.These findings reveal the tendency of increasing vocal tension following louder vocalization. Simultaneous measurement of EGG waveforms, and supraglottic and subglottic pressures might provide useful and detailed information for understanding EGG waveforms, laryngeal dysfunction and/or research for voice disorders.
著者
岩田 重信 竹内 健二 岩田 義弘 小島 秀嗣 大山 俊廣 高須 昭彦
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.338-349, 1995-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
30
被引用文献数
2

われわれは声門下圧の直接測定とPS-77発声装置により, 空気力学的な面より, 声の高さの調節について検討を加えた。資料解析にはPI-100発声機能自動解析プログラムを用いた.測定パラメータは, 平均呼気流率, 声の強さ (dB) , 高さ (Hz) と声門下圧 (cmH2O) ならびに声門抵抗 (cmH2O/l/sec) , 声門下パワー (erg/sec) と喉頭効率である.9例の正常者 (コーラス部員男子4名, 女子5名) を選択し, 声の強さを一定にして, 低いピッチから高いピッチと, 高いピッチから低いピッチへと一息で連続的に上昇, 下降させた.成績: 男性と女性の間にピッチの上昇, 下降音階のパラメータに相違を認めた.女性ではピッチの変化に対する呼気流率, 声門下圧, 声門抵抗と声門下パワーは, 両者間に直接的な正の相関を認めた.男性では呼気流率, 声門下圧, 声門抵抗の値はピッチの増減 (100から400Hzの間) に対し, ほとんど変化を示さなかった.しかし, より低いまたは高いピッチ領域においてこれらの値は増加していた.声門下パワーは150Hz付近を最低とするくぼみ型を呈していた.喉頭効率は男女とも, 胸声ではピッチの増減に直接的に反応したが, ファルセットでピッチ上昇に対し著しく低下した.この連続ピッチ変化のうち, 胸声から中間声, 中間声から裏声の声区変換領域では, 男女とも喉頭効率は急激に低下しV型を呈した.
著者
岩田 義弘 寺島 万成 長島 圭士郎 服部 忠夫 堀部 晴司 岡田 達佳 櫻井 一生 内藤 健晴 大山 俊廣 門山 浩 戸田 均
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Suppl.2, pp.S195-S201, 2010 (Released:2011-12-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2

われわれは下顎を支え前頸部舌骨上下筋群と胸鎖乳突筋に等尺性収縮の運動負荷を短時間に行うことにより嚥下機能の改善につながることを報告してきた。等尺性収縮は短時間での筋力増加が期待できる訓練手技であり、この訓練を高齢者 11 名 (60 - 88 歳) に毎食事前 4 - 6秒 3 回ずつ、自分自身で行い、2 - 4週間後にその効果を確認した。結果、repetitive saliva swallowing testは訓練前平均 2.7 (± 1.2) から訓練後 6.2 (± 1.6) と変化した。頸部側面単純レントゲン撮影では頤 - 舌骨間が11.1%、頤 - 甲状軟骨間が 8.4%短縮した。胸骨 - 甲状軟骨間は12.0%延長した。年齢とともに胸骨に近づいた舌骨・甲状軟骨の位置はこの訓練により頤に近づいた。このことは嚥下運動の開始が早くなり誤嚥防止に役立つと考えられる。舌骨・喉頭周囲の筋力増強を目的とした嚥下訓練は確立されたものは少なく、本手技は高齢者の嚥下機能改善に寄与することが考えられると同時に手技が簡便で短時間での効果発現が見込まれるため各種嚥下障害への応用が期待される。
著者
岩田 重信 竹内 健司 岩田 義弘 戸田 均 大山 俊廣
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.14-21, 1995-01-20
被引用文献数
10 1

われわれは声の強さの調節に関し, 声門下圧を経声門的に抽出し, PS-77発声機能検査装置とPI-100自動解析プログラムにより, 声の強さ, 高さ, 呼気流率, 声門下圧, 声門抵抗, 声門下パワー, 喉頭効率を求めた.対象は正常者9例 (男性4例, 女性5例) で, 楽な発声と胸声とファルセットにて, crescendo発声を行わせた.楽な発声条件では, 声門下圧, 声門抵抗, 喉頭効率の値は性差を認めず, 声門下パワーは女性に比し, 男性に高い値を示した.crescendo発声では, 胸声区は声の強さの増加に比し, 呼気流率はほとんど変化を認めないが, 声門下圧, 声門抵抗, 喉頭効率は直線的な比例関係を示し, ファルセットでは, 胸声の同じ強さで比較すると, 呼気流率, 声門下圧, 声門下パワーは増大しているが, 喉頭効率は著しく低下していた.