著者
宮地 功 岸 誠一
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.15-22, 1997-09-30 (Released:2017-05-27)
参考文献数
13

教師が音楽のテープ, CDなどを聞かせるという受け身的な従来の音楽の鑑賞教育を改善するために, シンセサイザーを用いて音色の特徴を感じ取り, 感性を育てることにした. 6種類の楽器の音色が「白鳥」の曲に適合する度合を判断させることをAHPによる感性測定アンケートによって試みた. 楽器の音色の適合度を音楽に対する感性と考える. 音色の適合度と音楽能力について, 多変量解析した. 平均整合度によって, 児童を2グループに分けると, 音楽能力によってこの2グループがよく判別できることが判明した. 音楽能力において, 関心度は歌唱力と演奏力に関係があり, 歌唱力は演奏力に関係があることが分かった. 音の良さを適切に判断する能力の指標である整合度は, 関心度と演奏力に関係があることが分かった. 児童が感じた楽器の音色の適合度を非類似度として, クラスター分析した結果, 感じ方がおよそ4グループに分けられることが分かった. 児童が感じた6種類の楽器の音色の適合度と音楽能力とをそれぞれレーダーチャートに表して, 各児童の感性と音楽能力が視覚的に把握できるようにして指導しやすくした.
著者
宮地 功 岸 誠一 小孫 康平
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.33-44, 1994-01-31 (Released:2017-06-06)
参考文献数
7

人間関係を育成する上で,ソシオメトリーは貴重な資料を提供できる.この技法を有効に機能させ,テストの信頼性と妥当性を高めるために,構成員全員を対象にした間隔尺度データに基づくソシオメトリックテスト法を提案する.この方式によって得られる指標を提案する.このテスト法によって得られるデータを処理加工し,分析結果を図表化するシステムを開発した.従来得られていた図表に重みを含めて,選択と排斥データ表,選択と排斥関係表,被選択児童とその理由リスト,被選択の理由と度数,被排斥児童とその理由リスト,被排斥の理由と度数,相互選択児童とその理由リスト,相互排斥児童とその理由リスト,矛盾選択関係の児童とその理由リストが得られる.また,提案した方法の特徴である重みを考慮した重み付き選択と排斥関係表,個人の友達関係図,選好度表,学級の友達関係図,友達関係伝播図のような従来得られなかった情報が得られる.この間隔尺度法を実際に活用した結果,利用した教師からかなり有効でわかりやすい加工情報が提供されるという良好な評価が得られた.
著者
宮地 功 岸 誠一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.57-62, 1993
被引用文献数
1

AHPを用いて1時間の道徳授業による目標としている指導内容の変容を定量的に評価する方法を提案する。道徳教育における授業の視点に含まれる指導内容それぞれについて一対比較をして、授業によって目標にしている指導内容の重要度 (大切さ) を調べるアンケートを実施する。そのアンケートを授業の前と後に行い、重要度の差をとる。この値によって、どの指導内容がどの程度変化したかを知り、その授業によって生じた児童の道徳性の変容を定量的に知ることができる。小学校の道徳の授業において、提案した方法によってアンケートを実施し、授業展開にほぼ対応した変容がみられた。提案した方法による定量的な変容から授業効果を知り、授業方法を改善できるようになった。