著者
亀高 正男 菅森 義晃 石田 直人 松井 和夫 岸本 弘樹 梅田 孝行 東 篤義 山根 博 杉森 辰次 魚住 誠司 永田 高弘 松場 康二 桑島 靖枝 岩森 暁如 金谷 賢生
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.125, no.11, pp.793-820, 2019-11-15 (Released:2020-03-26)
参考文献数
152
被引用文献数
1

舞鶴-小浜地域の5万分の1精度の地質図を新たに作成し,上林川断層の破砕帯の観察結果などと合わせて,超丹波帯と丹波帯の地質構造発達史を検討した.超丹波帯は後期ペルム紀〜三畳紀(?)付加体の上月層・大飯層・氷上層に,丹波帯はジュラ紀付加体の周山・雲ヶ畑・灰屋・鶴ヶ岡・由良川の5つのコンプレックスと古屋層に区分される.これらの地質体は衝上断層によって境され,大局的には北に向かって構造的上位かつ古い地質体が分布するパイルナップ構造を形成している.超丹波帯および丹波帯は東西~北西-南東走向で西〜北西に傾斜した軸を持つ半波長数kmの褶曲構造を形成している.この褶曲構造を切って北東-南西方向に,左横ずれカタクレーサイト帯を伴う地質断層としての上林川断層が延びている.活断層としての上林川断層は右横ずれ成分が卓越し,より古い地質断層の一部が横ずれインバージョンによって再活動していることが判明した.
著者
岸本 弘
出版者
東京経営短期大学
雑誌
東京経営短期大学紀要 (ISSN:09194436)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.175-191, 2001-03-31

私は言語学や言語心理学の専門家ではないが、子どもの言語発達にたえず興味を持ち、心理学的に考察し、研究してきた。その点でチョムスキーからはじまってビッカートンやダイヤモンド、更には最近のピンカーやサックス等に続く一連の優れた研究からたいへん貴重な刺激を受け、それにそった短い論文も幾つか発表させてもらった。この紀要第8巻で発表させていただいた「A Comparative Study of Sign Language and Spoken Language」(手話言語と口話言語の比較研究)もその一つである。本研究も、これらの学者たちが一連の研究結果をもとに共通に推測している「子どもが言語を獲得するのは、子どもの脳にあらかじめ埋め込まれた遺伝的青写真(ピンカーは更にすすんで本能と言っている)によるのではないか」という仮説について考察した。その結果、「子どもが言語を獲得するのは、遺伝的青写真や本能というよりも、ピアジェやミンスキーらの研究が示しているように、子どもの脳にあらかじめ仕組まれている思考(認知機能)の発達が下地となる。そしてそれと並行して発達してくる彼らの言語器官が、それを下地にしながら(すなわち思考の発達に促され)、周囲のおとな(はじめは母親)が使う言語(聴覚障害者の場合は手話)を使って、彼らと会話し始める。」そのように考える方が妥当なことを、他ならぬ前者らの研究そのものも示している。