著者
加辺 憲人 黒澤 和生 西田 裕介 岸田 あゆみ 小林 聖美 田中 淑子 牧迫 飛雄馬 増田 幸泰 渡辺 観世子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.199-204, 2002 (Released:2002-08-21)
参考文献数
15
被引用文献数
30 20

本研究の目的は,健常若年男性を対象に,水平面・垂直面での足趾が動的姿勢制御能に果たす役割と足趾把持筋力との関係を明らかにすることである。母趾,第2~5趾,全趾をそれぞれ免荷する足底板および足趾を免荷しない足底板を4種類作成し,前方Functional Reach時の足圧中心移動距離を測定した。また,垂直面における動的姿勢制御能の指標として,しゃがみ・立ちあがり動作時の重心動揺を測定した。その結果,水平面・垂直面ともに,母趾は偏位した体重心を支持する「支持作用」,第2~5趾は偏位した体重心を中心に戻す「中心に戻す作用」があり,水平面・垂直面での動的姿勢制御能において母趾・第2~5趾の役割を示唆する結果となった。足趾把持筋力は握力測定用の握力計を足趾用に改良し,母趾と第2~5趾とを分けて測定した。動的姿勢制御能と足趾把持筋力との関係を分析した結果,足趾把持筋力が動揺面積を減少させることも示唆され,足趾把持筋力の強弱が垂直面での動的姿勢制御能に関与し,足趾把持筋力強化により転倒の危険性を減少させる可能性があると考えられる。
著者
加辺 憲人 黒澤 和生 西田 裕介 岸田 あゆみ 小林 聖美 田中 淑子 牧迫 飛雄馬 増田 幸泰 渡辺 観世子
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.199-204, 2002-08-20
被引用文献数
27 20

本研究の目的は,健常若年男性を対象に,水平面・垂直面での足趾が動的姿勢制御能に果たす役割と足趾把持筋力との関係を明らかにすることである。母趾,第2~5趾,全趾をそれぞれ免荷する足底板および足趾を免荷しない足底板を4種類作成し,前方Functional Reach時の足圧中心移動距離を測定した。また,垂直面における動的姿勢制御能の指標として,しゃがみ・立ちあがり動作時の重心動揺を測定した。その結果,水平面・垂直面ともに,母趾は偏位した体重心を支持する「支持作用」,第2~5趾は偏位した体重心を中心に戻す「中心に戻す作用」があり,水平面・垂直面での動的姿勢制御能において母趾・第2~5趾の役割を示唆する結果となった。足趾把持筋力は握力測定用の握力計を足趾用に改良し,母趾と第2~5趾とを分けて測定した。動的姿勢制御能と足趾把持筋力との関係を分析した結果,足趾把持筋力が動揺面積を減少させることも示唆され,足趾把持筋力の強弱が垂直面での動的姿勢制御能に関与し,足趾把持筋力強化により転倒の危険性を減少させる可能性があると考えられる。<br>
著者
岸田 あゆみ 霍 明 丸山 仁司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P2065, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】 日常生活動作は、二つ以上の動作を同時に遂行している場面が多くある.心理学領域では、同時に複数の動作を行う場合、人間の注意需要には限界があり、それぞれの動作に対して必要な注意の容量が配分されると考えられている.必要な注意の容量は、動作の習熟度や複雑性、個人の動作レベルにより異なる.これを評価する指標として反応時間がある.ある連続した活動(主課題)遂行中に、単純反応時間課題(第二課題)をそこに加えた時の第二課題に対する反応時間のことをプローブ反応時間(Probe Reaction Time, P-RT)といい、歩行中のP-RTは歩行安定性の評価に有用であると報告されている.これら反応時間測定の多くは、10回の平均値を用いて検討しているものが多い.しかし、動作と与えられる刺激のタイミングには関連性があると考えられ、10回という回数を採用する客観的な理由は明らかではない.そこで、速さの規定が容易で比較的自動化されやすいといわれる手タッピングを主課題としたP-RTを測定し、その測定回数の絶対信頼性について検討した.【方法】 対象は、健常成人14名(男性11名、女性3名)で、平均年齢は19.9±2.1歳であった.測定は、椅子座位にて安静座位時、1・2・3・4・5Hzの速さに合わせたタッピング施行時について行った.タッピングは非利き手とし、各速さの施行順序はくじにてランダムに決定した.被検者の課題は「ようい」の後の電子音(音刺激)に対して、できるだけ早く「Pa」と発声することとした.タッピングによる疲労を考慮し、各速さの測定終了後に休憩を入れ、各速さにつき10回測定した.反応時間測定機器は,刺激装置はPCでサウンド処理ソフトを用いて音刺激信号を作成し,デジタルオーディオプレーヤ(Rio製)にデータを転送し携帯式スピーカに接続した.集音装置はデジタルIDレコーダを使用した.データをPCに取り込み,DIGIONSOUND5サウンド処理ソフトで分析を行った.得られたデータは、速さごとに測定回数までの平均値を算出し、10回の平均値と比較した.10回の平均値を基準にして、それに対する測定回数までの平均値の信頼性についてBland-Altman分析を用いて検討した.なお研究に際し、被験者に研究の目的について十分説明し、参加の同意を得た.【結果】 1Hzでのタッピング以外は、7回目までの平均値で系統誤差が消失した.1Hzでは9回目までの平均値において系統誤差を有していた.【考察】 反応時間の測定において高い信頼性のある結果を得るためには、少なくとも10回は測定値を得る必要があると考えられる.ただし、1Hzの測定結果からは10回の測定でも信頼性の高い結果とはいえない可能性が示唆された.