著者
峯 浩二 宇治田 吾朗 田谷 正仁
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.119-124, 2014

チューベローズ(<i>Polianthes tuberosa</i>)カルス培養液からの多糖類(TPS)の分離・回収に関し,工業化に向けたろ過装置運転における操作指針の検討を行った.ろ過助剤を用いた加圧型ろ過機によるデッドエンド定圧ろ過において,同一の透過流束下では,単位膜面積当たりのプレコートろ過助剤量の増大とともにろ液の光学的透過度は上昇した.プレコート層の流動抵抗は,0.48から2.7 kg/m<sup>2</sup>の範囲のプレコートろ過助剤量に対し直線的に上昇した.ケーク層の平均ろ過比抵抗は,ろ過原料中のカルス濃度に対するろ過助剤濃度の比が,60から89の間でほぼ一定の値であった.加圧型ろ過機によって得たデータより,フィルタープレスでのカルス培養液のろ液処理量は,膜面積1 m<sup>2</sup>当たり0.22 m<sup>3</sup>と計算され,デッドエンド定速ろ過において,ほぼ100%のTPS回収率を伴って,光学的透過度が95%以上の清澄なろ液が安定して得られた.
著者
峯 浩二 宇治田 吾朗 田谷 正仁
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 = Kagaku kogaku ronbunshu (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.363-367, 2013-07-20
参考文献数
18
被引用文献数
1

<i>Polianthes tuberosa</i>(チューベローズ)カルスが産生する細胞外酸性多糖(TPS)について,沈殿分離方法を検討した.無機塩存在下において,培養液と相溶する有機溶媒(エタノール,アセトン,2-プロパノール)の添加がTPSの沈殿形成に有効であった.2%NaCl存在下では,有機溶媒の種類によらず,比誘電率が50近傍でほぼ100%の沈殿生成率が得られた.一方,50 vol%エタノールを添加した溶液において,TPS分子中のグルクロン酸基に対する無機塩中のカチオン(Na<sup>+</sup>, Ca<sup>2+</sup>)のモル比率と沈殿生成率には正の相関が得られた.同様の傾向は,グルクロン酸基を含有する酸性多糖のキサンタンガムでも見られた.本研究で得られた沈殿分離条件により,TPSの構造を維持しながら,主な夾雑物の濃度を許容濃度に低減できることが示された.
著者
峯 浩二 清水 将夫 佐野 耕太郎
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 = Kagaku kogaku ronbunshu (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.52-56, 2012-03-20
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

細胞外へ多糖を産生する<i>Polianthes tuberosa</i>(チューベローズ)カルスについて,多糖産生に対する溶存酸素濃度およびせん断力の影響を評価した.両者を独立して評価する方法として,充填層型リアクターを使用することが有効であった.カルスの酸素消費速度は溶存酸素濃度の上昇とともに増加するが,多糖の産生は7.6 g/m<sup>3</sup>をピークに減少した.溶存酸素濃度を7.6 g/m<sup>3</sup>近傍に保った条件の下では,供給する培地が与えるせん断力に対して,多糖の産生は極大値を有した.工業生産において一般的に使用される通気撹拌槽では,7.6 g/m<sup>3</sup>付近での溶存酸素濃度の制御は可能であり,好ましいせん断力の付与は難しいものの,安定な操作域での運転が可能であった.
著者
宇多 高明 田中 常義 森 義将 峯 浩二 木村 尚
出版者
日本地形学連合
雑誌
地形 (ISSN:03891755)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.215-228, 2003-04-25

Formation of the barrier where the central part of Yokohama City is located was investigated by the comparison of old maps and geological surveys. This barrier was formed as the sand spit extending northwestward from the end of Ishikawa Upland. Behind this barrier, lowland mainly composed of alluvial cohesive soil extends. In this area, jet of sand and subsidence of structural foundation were observed during the Kanto Great Earthquake. Thus, the understanding of the formation of this barrier and lowland is important to consider potential vulnerability of this area. Comparison of profiles along several sections crossing Ishikawa Upland showed that sand was supplied from this upland while forming sea cliff. Supplied sand was carried by longshore sand transport caused by wind waves in Tokyo Bay. In this area predominant wind directions are N and NE. Waves from these directions make large incident angle greater than 45 degrees reference to the shoreline direction, and this large wave incidence accelerates the formation of sand spit by the mechanism given by Ashuton et al. (2001).