- 著者
-
島岡 みどり
蛭田 秀一
小野 雄一郎
堀 文子
- 出版者
- 名古屋大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2004
日本、スウェーデン、中国の老人介護施設において、介護業務従事職員の作業負担とその関連項目について、アンケート調査およびフィールド調査を行った。アンケート調査(日本325人、スウェーデン84人、中国74人)の結果比較において、日本の職員の作業負担とその関連項目の特徴として、中国とともに作業量が多く作業は通常1人で行われ、さらに疲労度や筋骨格系症状が3か国の中で最も高い状況にあることが示された。スウェーデンの特徴としては、作業量は少なく、2人以上で作業を行う機会が多く、就業継続希望も高いが、仕事や待遇への不満は大きかった。中国の特徴としては、日本とともに1人作業および作業量が多く、特に時間外労働をする割合が高いが、仕事や待遇への満足度は高かった。3種類のフィールド調査(勤務中の上体傾斜角、心拍数、歩数の各測定)のうち、座位作業と休憩時間を除く上体傾斜角測定(日本3人で4回、スウェーデン7人が各1回、中国は実施せず)において、日本の介護職員はスウェーデンの職員に比較して、より深い角度寄りの頻度分布を示した(双方とも看護師1人を除く)。心拍数測定(日本24人、スウェーデン6人、中国15人)では、各国とも個人差が大きく、休憩時間を含む勤務時間中の身体活動強度指標(%HRR)の平均値は26%〜27%とほぼ同水準であった。休憩時間を含む勤務時間1時間当たりの歩数の平均値(日本45人各1日、スウェーデン5人で延べ25日分、中国7人延べ30日分)は、日本(1122歩/時間)が最大で、次いで中国(1026歩/時間)、スウェーデン(779歩/時間)の順であった。本研究において、相対的に多くの日本の介護業務従事職員が、高水準の作業負担と疲労の状況を示したことから、各国の状況も参考にしながら、より適切な作業量や作業方法の目安が設定されるべきであると考察された。