1 0 0 0 IR 立山に積る雪

著者
島田 亙
出版者
富山市科学博物館
雑誌
とやまと自然
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.1-8, 2018-01-05
著者
島田 亙 古川 義純
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.249-257, 2002-05-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1

過冷却水から成長する氷結晶は,最初は薄い円盤状に成長するが,やがて形態不安定を起こし,以後は樹枝状結晶として成長する.これらの氷結晶は厚さが非常に薄いため二次元的に扱われてきたが,現実の結晶は三次元である.そこでマッハツェンダー干渉計を用いて氷結晶の成長を“その場”観察した.得られた干渉縞から三次元的な形態を解析し,また形態不安定発生機構,円盤状・樹枝状の成長機構を調べた.円盤状結晶は二枚の基底面で挟まれており,基底面の成長が「界面キネティクス」によって律速されているのに対し,側面は「熱拡散」で律速されていた.また,形態不安定発生の臨界値は半径ではなく厚みであり,発生する揺らぎも円周上ではなく厚み方向の形状が先に非対称になることがわかった.一方,樹枝状結晶は一枚の平らな基底面と高次の曲面で構成されており,樹枝先端の成長速度は「熱・物質拡散」と「界面張力」を考慮した普遍法則と一致するが,先端曲率半径は一致しなかった.従って,過冷却水から成長する氷結晶の形態を理解するためには,上記の二要素に「界面キネティクス」を加えた三要素すべての考慮が必要であることが明らかになった.
著者
渡辺 興亜 本山 秀明 神山 孝吉 藤井 理行 古川 晶雄 東 久美子 島田 亙
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

氷河や氷床など氷久雪氷層中には大気中からさまざまな物質がさまざまな過程を経て混入している。それらの物質は雪氷層中に初期堆積状態を保ち、あるいは続成過程の結果として保存される。このように保存された各種物質の濃度、組成、存在形態は雪氷コア中に特色ある情報系を構成し、堆積環境、気候状態の情報指標(シグナル)となる。とりわけ物質起源に関して地球環境、輸送機構に関して大気環境と大きく結びついているエアロゾル起源物質は地球環境情報の指標として重要である。本研究ではエアロゾル起源物質の雪氷層への(1)初源的堆積過程、(2)積雪の変態過程に伴う二次堆積-移動過程、(3)定着化過程を積雪の氷化過程を中心課題として研究を進め、(4)指標シグナル全体としての特性の形成機構を中心に解析をおこなった。極域にはさまざまな起源からエアロゾルが大気循環を通じて転送され、極域大気循環を通じて雪氷層に堆積する。降水の同位体組成とともに、エアロゾル物質の濃度、組成化、その他の指標特性はさまざまな時間規模の大気環境、雪氷堆積環境の状態とその変動特性を指標する。しかしその指標特性は単純ではない。エアロゾルの輸送、堆積に関る大気環境と堆積後の諸過程に関る雪氷堆積環境にはさまざまな地域特性を反映しているからである。極域における雪氷コアから抽出できる各種の指標シグナルは極めて豊富であるが、指標特性の形成の過程と形成の機構の解明に不可欠な再現実験が困難という問題が存在する。そのため、本研究ではフィールド観測対象域として極域の積雪変態過程とほぼ同様な変態、氷化の諸過程が生じる、北海道東北地方の内陸部を選び、二冬期間に観測を実施した。わが国の積雪域は現在の気候下では季節雪氷圏であり、氷久雪氷圏の極域雪氷の諸現象との相違も大きいが基礎観測としてほぼ十分な成果をあげることができた。