- 著者
-
嶋崎 東子
- 出版者
- 旭川大学保健福祉学部
- 雑誌
- 旭川大学保健福祉学部研究紀要 = The journal of Faculty of Health and Welfare Science, Asahikawa University (ISSN:18837247)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, pp.37-44, 2018-03-31
少子高齢化,世帯規模の縮小が進むなか,「無縁」や「社会的孤立」,「孤独」といったことが社会問題化するとともに,高齢者をはじめとした大人の居場所づくりが課題とされるようになってきた。本稿においては,それらの概念とこれまで私が経験してきた都市を中心とした高齢者の生活調査で得られた知見とを結び付け,都市高齢者にとっての居場所や居場所づくりの意味を問い直すことが目的である。先行研究の中には,楽しめて気軽に交流できる場を「居場所」と捉えるものがみられる。もちろん,そのような居心地の良い場所としての「居場所」も必要であろう。しかし,要介護者や超高齢でない限りは,自らが関わって作っていく,自身の役割があり,他者に必要とされるような「居場所」も必要ではないだろうか。生活と生活空間の一部を共にする住まい方であるコレクティブハウジングや「ひろば」という共用空間を持ち,お茶や活動をしながら交流したり,自発的に助け合いのシステムを構築したりしていた高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)での居住者のあり方から,そのように考察した。