著者
飯田 朱美 相川 清明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.69, pp.141-146, 2005-07-16
被引用文献数
6

我々は、ベクトル空間法を用いて、計測した多変量な情報を話し手聞き手の双方にとって理解しやすい表現に置き換えて出力する手法を提案した。そして、評価システムとして、温度や湿度などの気象情報を「さわやか」「うっとおしい」などの、日常我々が気象情報を他者に伝える時に使う感覚的に理解しやすい表現に置き換えて出力するシステム、Weather Reporterを実装した。本システムは、二つの表現を接続して出力することができるが、これまでは全ての組合せを順接接続詞、「そして」で接続していたため、共起するとは考えにくい組せの排除や語義に応じた接続詞の使い分けが課題となっていた。そこで、実際にはどのような接続形態が在り得るのかをアンケート調査を行って調査し、二つの表現のテンプレートベクトル間の非類似度を求め、複数の候補から接続詞を自動決定する手法を考案し、実装し、評価したので報告する。In previous research, we proposed an approach for describing multivariate environmental information as it might be expressed by humans using easy to understand day-to-day phrases. In its prototype, the Weather Reporter took meteorological data as input and produces expressive phrases such as "refreshing" or "muggy" as output. This system could also conjoin two phrases such as "hot and muggy", but the first version of the reporter could only assign the conjunction 'and' regardless of the meaning of the two phrases. Hence, we conducted a survey to find out how people typically conjoin two meteorological phrases. This paper reports on the findings from the survey and also proposes a new dissimilarity measuring algorithm that automatically assigns the conjunction additive 'and' or adversative 'but' to conjoin two sentences depending on the meanings of the two phrases that have been selected by the system to be combined.
著者
進藤 美津子 菅原 勉 荒井 隆行 飯田 朱美 平井 沢子 程島 奈緒 安 啓一 飯高 京子 川中 彰 進藤 美津子
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

私共は、平成16年度〜19年度にかけて、音声コミュニケーション障害者、高齢者、聴覚障害者、言語聴覚障害児者に対する支援システム、評価法の開発およびコミュニケーション援助の開発や臨床への応用を目的として、以下の3グループに分かれて研究を行ってきた。研究分担者や研究協力者は、文系と理系からなる学際的なメンバーで構成され、それぞれの専門性を活かした研究に取組み、成果を上げてきたことが特記される。3グループの研究は次の通りである。1.音声コミュニケーション障害者への支援システムの開発とコミュニケーション援助:神経筋病患者の自声による日英両言語のコミュニケーション支援システムの構築を行い、臨床への応用が可能であることを示した。コーパスベース方式でシステム構築を行った後、より少ないデータで構築可能なHMM音声合成方式でも試作を行い実用レベルに達するという評価結果を得た。2.聴覚障害者に対する支援システムの開発とコミュニケーション援助:聴覚障害児者や老人性難聴者のための残響環境下における聞きやすい拡声処理と補聴器のための音声処理方式の開発と実用化への適用を推進した。3.言語聴覚障害児者に対する支援システムの開発とコミュニケーション援助:高次脳機能に障害を持つ、後天性小児失語症児や中枢性聴覚障害児のコミュニケーション能力向上のための評価、指導法を開発し、発達性構音障害の鑑別診断となる基礎的研究と臨床への応用を行い、発達性読み書き障害児への基礎的、臨床的検討を行った。また、言語習得過程の不備からコミュニケーション障害が形成される可能性について問題提起した。