著者
相羽 宏 舟崎 裕記 川井 謙太朗
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.140-144, 2017 (Released:2017-10-28)
参考文献数
16

Exercise therapy is useful for low back pain. Exercise therapy aims to improve postural alignment, muscle strength, and endurance, and also contributes to pain relief and the prevention of recurrences.Furthermore, exercise therapy helps to reduce the psychological burden in chronic low back pain patients. Exercise therapy for low back pain is divided into two major categories : stretching for flexibility and motor control for lumbar spine and pelvic stability. Patients with low back pain reportedly have less trunk and lower limb flexibility. Flexibility can be enhanced with trunk and lower limb stretching, which contributes to the maintenance of postural alignment under gravity. Trunk stability exercises using the inner unit have been widely applied for nervous, skeletal,and muscular system coordination as well as lumbar spine dynamic stability
著者
川井 謙太朗 舟崎 裕記 林 大輝 加藤 晴康 沼澤 秀雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-43, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
23
被引用文献数
5 2

〔目的〕投球障害肩症例における肩関節機能を投球側と非投球側の間で比較した.〔対象と方法〕対象は野球投手の男性44例とした.肩甲上腕関節ならびに肩甲胸郭関節に対する肩関節機能(可動域7項目,筋力13項目)を投球側と非投球側の間で比較した.〔結果〕投球側は非投球側に比べ,上腕骨頭後捻角度,補正外旋角度は有意に大きく,一方,補正内旋角度,Horizontal Flexion Test,Scapular Retraction Test,inner muscle筋力,僧帽筋下部線維筋力は,有意に低い,あるいは小さかった.〔結語〕投球障害肩症例にみられた, 投球側と非投球側間での可動域や筋力に関する肩関節機能の特徴的な相違は,これと投球動作時の肩関節痛との深い関連性を示唆する.
著者
川井 謙太朗 舟崎 裕記 林 大輝 加藤 晴康 沼澤 秀雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.13-17, 2016 (Released:2016-03-05)
参考文献数
23

〔目的〕投球障害肩における肩関節2nd内旋制限に対する3種類のセルフストレッチ方法の有効性を比較検討した.〔対象〕投球障害肩を有する男性の野球選手48例とした.〔方法〕APS法,CB法,IRS法における疼痛によるストレッチ不可率を比較した.次に,全てのストレッチが可能であった症例28名を3群に分け,ストレッチ前後において,後捻角の影響を除いた2nd補正内旋角度を計測し,各群間で比較した.〔結果〕ストレッチ不可率はAPS法が最も有意に低かった.2nd補正内旋角度はストレッチ前では3群間において有意差はなかったが,ストレッチ後では,APS法,CB法がIRS法に比べて有意に増大していた.〔結語〕APS法は投球障害肩に対する最も効果的なセルフストレッチ方法である可能性が示唆された.
著者
川井 謙太朗 舟崎 裕記 林 大輝 加藤 晴康 沼澤 秀雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.309-313, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

〔目的〕野球投手において,投球時に肩関節に痛みのある群(有症状群)とない群(無症状群)で,上腕骨頭後捻角,ならびに,それを除いた2nd肢位での肩回旋可動域(補正角度)を比較した.〔対象〕男性の野球投手69名(有症状群38名・無症状群31名)とした.〔方法〕超音波画像診断装置を用いて上腕骨頭後捻角,ならびに補正角度を計測し,それぞれを2群間で比較した.〔結果〕上腕骨頭後捻角は2群間で有意差はなかった.有症状群は無症状群に比べて,投球側の補正外旋角度が有意に大きく,補正内旋角度は有意に小さかった.一方,非投球側の補正回旋角度に有意差はなかった.〔結語〕投球時痛に伴う回旋可動域の変化は,上腕骨頭後捻角より軟部組織性因子との関連性が示唆された.
著者
川井 謙太朗 中山 恭秀 吉田 啓晃 宮野 佐年
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.A0799, 2006

【目的】肩甲胸郭関節は肩関節において、最も中枢部に位置する重要な関節である。腱板機能の重要性は知られているが、腱板が機能するためには基盤となる肩甲胸郭関節の安定性が重要である。また、肩甲胸郭関節は安定化機構に加えて、上肢運動連鎖として機能する重要な関節である。肩甲上腕関節に関与する主要筋力と握力との関連性については、廣瀬らにより報告されているが、肩甲胸郭関節に関与する筋群(前鋸筋・菱形筋・僧帽筋など)との関連性については、一切報告なされていない。そこで、Hand-held Dynamometer(以下HHD)を使用し、肩甲胸郭関節に主に関与する筋群を計測し、握力との関連性を検討することを目的とした。尚、事前に検者内信頼性に優れた検査であることを確認した。<BR>【方法】当大学倫理委員会の承諾を得て、十分に研究の目的を説明した後、実験に対し同意を得た教職員を対象とした。健常女性20歳代~60歳代の各年代20名ずつ、計100名(200肩)、利き手が右手の人とした。測定項目はMMTに基づき、肩甲骨外転と上方回旋、肩甲骨内転、肩甲骨下制と内転、肩甲骨内転と下方回旋の4動作とした。抵抗を加える部位、HHDの測定パットの位置は、MMTの段階5の徒手抵抗位置と同様とし、break testとした。握力は、握力計(松宮医科精器製作所HAND DYNAMO METER KIRO)を使用し、足幅を肩幅に開いた立位、体側垂下式にて測定した。尚、左右各々3回の平均値を採用した。<BR>【結果】握力と肩甲胸郭関節に主に関与する筋力との相関関係をPearsonの積率相関係数(p<0.001)にて求めた結果、全ての動作において、握力と正の相関が認められた。肩甲骨外転と上方回旋(右:r=0.63 左:r=0.61)、肩甲骨内転(右:r=0.38左:r=0.36)、肩甲骨下制と内転(右:r=0.33 左:r=0.31)、肩甲骨内転と下方回旋(右:r=0.35 左:r=0.39)。肩甲骨外転と上方回旋に関しては、握力と有意な正の相関が認められた。<BR>【考察】本研究では、握力と全ての筋力との間に正の相関が認められたことより、握力から肩甲胸郭関節に主に関与する筋力が予測できることが確認された。また、肩甲骨外転と上方回旋筋群のみに有意な正の相関が認められた。廣瀬らは、握力と肩甲上腕関節に関与する主要筋力との関係を調べ、肩関節屈筋群のみに有意な相関が認められたと報告している。肩関節屈曲時の計測において肩甲胸郭関節は、前鋸筋の作用により肩甲骨を胸郭に固定させ安定性を高めている。勿論、僧帽筋・菱形筋などの筋群も安定性向上のため機能しているが、前鋸筋に比べると弱い。つまり、廣瀬らの計測した肩関節屈筋群と、本研究の肩甲骨外転と上方回旋筋群(前鋸筋など)は同様の動作で測定するため、類似した結果が得られたと考える。