著者
宮下 ひろみ 川村 奎子 和泉 眞喜子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.72, 2012 (Released:2012-09-24)

宮城県の正月料理の特徴ー雑煮および餅料理についてー   ○宮下ひろみ(仙台白百合女子大),川村奎子(東北生活文化大),和泉眞喜子(尚絅学院大)   【目的】宮城県の正月の料理は,東北地方が持つ郷土的色合いと伊達藩のもとに発展した独自の特徴がみられる。特に雑煮および餅料理は種類が豊富であり,それらが現代にどのよう受け継がれているかを検討するため調査分析を行った。 【方法】平成22年度調理科学会特別研究「行事食・儀礼食」の調査によるデータ ベースより,宮城県の正月料理のうち雑煮および餅料理について学生および一般の喫食状況等を集計し分析した。 【結果】正月の雑煮はほぼ全員に喫食経験があり,約80%が家庭で作り,その他実家や親戚でも食べていた。雑煮の種類として,汁はすまし,角餅,焼きもちが多かった。ただし雑煮餅の形状については,丸餅の割合が平均9%程度あり,親の世代よりも学生の世代の割合が高かった。仙台には他県からの流入もあることから,丸餅文化圏からの人口移動による現象の反映がみられることが示唆された。雑煮の食べ方や種類が変化した場合の理由は婚姻によるものが多かった。また,仙台には正月に雑煮とともにあん餅を食べる特有の習慣があるが,「あんこもち」は一般の世代で60%,学生で30%に喫食経験があり,そのうち90%以上が毎年食べる習慣を持っていた。納豆餅もよく食べられていた。他に醤油,きなこ,くるみ,ずんだ,おろし等の餅が食べられていた。一部の家庭では,これらに加えて,アメ,生姜・しいたけ,えび,みそつけ,きんか等相当数の種類の餅を食べていることがわかった。