著者
川瀬 徹也 鶴之園 秀志 江原 直樹 笹瀬 巌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.532-541, 1998-05-25
被引用文献数
4

従来, フェーズアレーアンテナを用いた目標追随において, α-βフィルタが使用されている.α-βフィルタは演算負荷は軽いが, 目標の急旋回時における追随精度に問題があった.急旋回に対応する方式としては, 円予測を併用したα-βフィルタが提案されている.しかし, 円予測を併用したα-βフィルタは目標の急旋回時に, 円予測フィルタが線形予測誤差増大の影響を受け, 追随精度が劣化してしまう問題があった.本研究では追随精度の向上のため, マニューバ検出器によりゲインを変化させる円予測を併用したゲイン可変型α-βフィルタを提案する.簡単な目標モデルを用いた計算機シミュレーションにより, 追随精度および演算時間について提案方式の有効性を示す.
著者
川瀬 徹也 系 正義 小菅 義夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.271, pp.1-6, 2004-08-20

IMM(Interacting Multiple Model)フィルタは,様々な運動モデルを持つカルマンフィルタより構成される追尾フィルタである.複数の異なる運動モデルの残差ベクトルより尤度を算出し,運動モデル毎の尤度比から得られるモデル信頼度により,モデル毎の平滑値の重み付けを行っている.しかし,高サンプリングレート追尾においては,準最適化による平滑値のミキシングにより,モデル毎の尤度に差がつきにくく,追尾精度精度が劣化する問題がある.本報告では,サンプリングレートが高い場合に,モデル毎の尤度に差が生じるまで,一定期間混合処理を延期させる高サンプリングレート追尾に対応したIMMフィルタについて提案する.
著者
川瀬 徹也 系 正義 小菅 義夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.1777-1786, 2002-10-01
参考文献数
10
被引用文献数
5

旋回目標追尾アルゴリズムであるM^3フィルタは複数の定数加速度モデルを定義し,各運動モデルの予測位置を中心とした確率密度分布の観測位置における値を評価することにより,各運動モデルの信頼度を算出する.サンプリング間隔が短い近距離レーダの条件下では良好な追尾性能が得られるが,広範囲を捜索するためにサンプリング間隔の長い遠距離レーダの場合,追尾精度が劣化する場合がある.これは,予測値間に各運動モデルの確率密度が極めて低い領域が生じ,モデルの信頼度計算が適切に行われないためである.そこで本論文では,各運動モデルの確率密度分布の重なりを表す指標として誤差楕円体重複度係数を提案し,計算機シミュレーションによる解析を行った.その結果,上記係数が一定の値を下回る場合にモデル信頼度が増減を繰り返し,適当なモデルに収束しない信頼度発振現象が生じることを明らかにした.誤差楕円体重複度係数を監視することで,事前に信頼度の発振現象が生じる可能性を知ることができる.