著者
高倉 伸有 矢嶌 裕義 高山 美歩 川瀬 明子 KAPTCHUK Ted J. JIAN Kong
出版者
東京有明医療大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

鍼治療の適応として最もよく知られる肩こりに対し、鍼治療は本当に効果があるのかを証明するために、治療者と患者に治療の真偽を知らせずに治療する「ダブルブラインド法(二重盲検法)」を用いた無作為化プラセボ対照臨床研究を実施した。その結果、治療しない場合よりも、鍼治療を施した方が肩こり感は改善したが、鍼が刺さっても刺さらなくても一定の肩こり改善効果が認められた。また肩こりの部位に鍼を刺して治療した場合にのみ、皮下血流に変化が認められた。これらのことは、「鍼治療を受ける」ことによって肩こり感は和らぎ、特に鍼を刺す治療であれば血流改善の効果も期待できることを示唆する。
著者
樋口 仁 若杉 優花 川瀬 明子 前田 茂 宮脇 卓也
出版者
一般社団法人 日本歯科麻酔学会
雑誌
日本歯科麻酔学会雑誌 (ISSN:24334480)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.81-96, 2021-07-15 (Released:2021-07-15)
参考文献数
19

【要約】 緒言 : アーティカイン塩酸塩 (アルチカイン塩酸塩) は, 歯科治療に際して世界的に広く使用されているアミド型の局所麻酔薬であるが, 現在日本では薬事承認を受けていない. そこで本邦での歯科用アルチカイン製剤 (OKAD01) の導入を目指し, OKAD01を日本人の口腔粘膜下に投与した際の安全性および血中薬物動態を検討するため, 日本人を対象としたOKAD01の第Ⅰ相試験を行った. 方法 : 健康な日本人成人男性を対象とした. OKAD01 1カートリッジ (1.7ml) および3カートリッジ (5.1ml) を口腔粘膜下にそれぞれ6名ずつに投与した. OKAD01投与前, 投与終了15, 30, 60分後, および2, 4, 12, 24時間後の血漿中アルチカイン濃度の測定を行った. またOKAD01投与前, 投与後に臨床検査, バイタルサインなどの測定を行い, OKAD01投与による有害事象を検討した. 結果 : 1カートリッジ群の薬物動態パラメータ値 [平均値±標準偏差 (最小値-最大値)] は, 最高血中薬物濃度 (Cmax) が374.35±97.65 (252.7-514.5) ng/ml, 最高血中薬物濃度到達時間 (Tmax) が0.25±0.00 (0.25-0.25) hであった. また3カートリッジ群では, Cmaxが694.00±175.23 (517.9-970.4) ng/ml, Tmaxが0.42±0.13 (0.25-0.5) hであった. 有害事象は1カートリッジ群に 「頭痛」 が1件認められたが, OKAD01との因果関係はなしと判断された. 結論 : OKAD01を日本人の口腔粘膜に投与した際のCmaxは, 本治験の安全域とした5.0 μg/ml未満であることが確認された. また, OKAD01に関連した有害事象は認められず, OKAD01は, 20歳以上の健常日本人男性に対して忍容性が認められ, 安全性に問題はないと考えられた.
著者
矢嶌 裕義 高倉 伸有 高山 美歩 政岡 ゆり 本間 生夫 川瀬 明子 KAPTCHUK Ted J. JIAN Kong
出版者
東京有明医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

脳梗塞などにより筋緊張(常に生じている持続的な弱い筋収縮)が病的に強い場合に、電気刺激を与えてその緊張を緩めることを目的としたリハビリテーションを行うことがある。本研究では、指先に振動を与えて不随意的に指を屈曲させることができる反射を用いて強い筋緊張を生じさせ、これと同時に電気刺激を与えて筋緊張が緩む時の脳活動を、脳波を用いて観察した。その結果、電気刺激を与えた場合には、この反射によって起こる脳内の神経活動のエリアが一部に限定されるとともに、筋緊張緩和に関連すると言われる前頭前野背外側部の神経活動が先行して高まることがわかり、電気刺激による筋緊張の緩和の脳内メカニズムの一端が確認された。