著者
山野 貴史 宮城 司道 樋口 仁美 梅崎 俊郎 中川 尚志
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.206-211, 2010 (Released:2011-09-01)
参考文献数
11

気管内挿管による合併症の一つである披裂軟骨脱臼を診断する上で喉頭ストロボスコピー、喉頭 3D-CT が有用であった。当科での症例は全 6 例すべてが前方脱臼であり、新鮮例では喉頭直達鏡下整復術、陳旧例では音声治療を行うことにより良好な成績を上げることができた。また、受傷後できるだけ早い時期に対応できるように他科医師にも当疾患について積極的な啓蒙が必要と考えた。
著者
樋口 仁 若杉 優花 川瀬 明子 前田 茂 宮脇 卓也
出版者
一般社団法人 日本歯科麻酔学会
雑誌
日本歯科麻酔学会雑誌 (ISSN:24334480)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.81-96, 2021-07-15 (Released:2021-07-15)
参考文献数
19

【要約】 緒言 : アーティカイン塩酸塩 (アルチカイン塩酸塩) は, 歯科治療に際して世界的に広く使用されているアミド型の局所麻酔薬であるが, 現在日本では薬事承認を受けていない. そこで本邦での歯科用アルチカイン製剤 (OKAD01) の導入を目指し, OKAD01を日本人の口腔粘膜下に投与した際の安全性および血中薬物動態を検討するため, 日本人を対象としたOKAD01の第Ⅰ相試験を行った. 方法 : 健康な日本人成人男性を対象とした. OKAD01 1カートリッジ (1.7ml) および3カートリッジ (5.1ml) を口腔粘膜下にそれぞれ6名ずつに投与した. OKAD01投与前, 投与終了15, 30, 60分後, および2, 4, 12, 24時間後の血漿中アルチカイン濃度の測定を行った. またOKAD01投与前, 投与後に臨床検査, バイタルサインなどの測定を行い, OKAD01投与による有害事象を検討した. 結果 : 1カートリッジ群の薬物動態パラメータ値 [平均値±標準偏差 (最小値-最大値)] は, 最高血中薬物濃度 (Cmax) が374.35±97.65 (252.7-514.5) ng/ml, 最高血中薬物濃度到達時間 (Tmax) が0.25±0.00 (0.25-0.25) hであった. また3カートリッジ群では, Cmaxが694.00±175.23 (517.9-970.4) ng/ml, Tmaxが0.42±0.13 (0.25-0.5) hであった. 有害事象は1カートリッジ群に 「頭痛」 が1件認められたが, OKAD01との因果関係はなしと判断された. 結論 : OKAD01を日本人の口腔粘膜に投与した際のCmaxは, 本治験の安全域とした5.0 μg/ml未満であることが確認された. また, OKAD01に関連した有害事象は認められず, OKAD01は, 20歳以上の健常日本人男性に対して忍容性が認められ, 安全性に問題はないと考えられた.
著者
樋口 仁美 中川 尚志
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.312-317, 2010 (Released:2012-12-28)
参考文献数
11

三歳児聴覚検診や新生児聴覚スクリーニングの普及で,難聴の早期診断やその後の療育体制の地域差がクローズアップされている。今回,診断が遅れた先天性難聴の一例を経験した。症例は12歳女児で,主訴は難聴であった。幼少時より両親が難聴に気付き,近医受診するも経過観察となっていた。小学校卒業前に難聴が原因で学業に支障がきているのではと指摘され,精査目的に当科受診となった。構音に若干の歪みを認め,先天性難聴が疑われた。しかし,言語面,学習面での大きな遅れは認めてなかった。地方都市の中心部より離れた地域に住んでいるので,各学年が少人数の一クラスしかなく,両親から学校への要望で教師も学習の進度を気に掛けていたためと推測した。また友人がほぼ同じという環境で,対人のトラブルもなく過ごすことができたものと考えられる。今後,進学や就労時に難聴によって生じる問題への対応などが必要になってくると思われる。
著者
宇田 一成 樋口 仁美 土井 悠子 今井 則夫 原 智美 杉山 大揮 米良 幸典
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.43, pp.P-246, 2016

【目的】<br>中期皮膚発がん性試験は投与局所(皮膚)における発がん性評価を目的とし、従来の長期発がん性試験と比べ、使用動物の削減(Reduction)、大幅な試験期間の短縮などのメリットがある。近年では従来医薬品の塗布剤や貼付剤への剤型変更、新製剤または効能追加などによる製品寿命(LCM)の延長戦略により、投与局所(皮膚)の発がん性評価が可能な中期皮膚発がん性試験が用いられている。<br>昨年、中期皮膚発がん性試験で用いるICR系マウスのIGS(International Genetic Standard)生産システムへの移行に伴い、同試験において使用している非IGSマウスとの皮膚腫瘤発生に対する感受性の影響について発表した(第42回日本毒性学会学術年会)。今回は雌雄のIGSマウスを用いて皮膚腫瘤発生に対する雌雄差について検討した。<br>【方法】<br>動物は7週齢の雌雄IGSマウス(Crl:CD1(ICR);日本チャールス・リバー株式会社)を用い、全動物の背部被毛を約2×4 cmの広さで剪毛した後、イニシエーション処置として7,12-Dimethylbenz[<i>a</i>]anthracene(DMBA)を100 µg/100 µLの用量で単回経皮投与した。<br>その1週後より、雌雄各20匹に陽性対照物質である12-<i>O</i>-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA) を4 µg/200 µLの用量で週2回、19週間経皮投与した(TPA投与群)。また、イニシエーション処置1週間後より雌雄各20匹にアセトンを19週間反復経皮投与する群を設けた(陰性対照群)。<br>投与期間中は発生した皮膚腫瘤を経時的にカウントし、各群における腫瘤発生率及び平均腫瘤発生個数を算出した。<br>【結果・まとめ】<br>TPA投与群では、雌雄共に実験7週時より腫瘤の発生がみられ、発生率は実験18週時に100%に達し、腫瘤の発生時期並びに発生率に違いはみられなかった。また、投与終了時におけるマウス1匹当たりの平均腫瘤発生個数は雄で20.0個、雌で18.8個であった。なお、陰性対照群に腫瘤の発生はみられなかった。<br> 現在、背部皮膚に発生した腫瘤の病理組織学的検査を進めており、その結果とあわせてIGSマウスの皮膚腫瘤発生に対する雌雄差について報告する。