- 著者
 
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             塩谷 隆信
             
             佐竹 將宏
             
             上村 佐知子
             
             岩倉 正浩
             
             大倉 和貴
             
             川越 厚良
             
             菅原 慶勇
             
             高橋 仁美
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.26, no.1, pp.26-32, 2016-04-30 (Released:2016-04-25)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 32
 
          
          
        
        
        
        呼吸筋トレーニング(IMT)は,呼吸リハビリテーションの運動療法において,基盤的な種目の一つである.従来,運動療法に関するIMTのメタアナリシスでは,IMTの併用効果についてある程度評価しているものの,運動耐容能の改善についてはポジティブな評価ではなかった.2011年,Gosselinkらは,2000-2009年に発表された32論文を解析した結果から,COPDにおけるIMTに関する新しいエビデンスを発表した.この報告によれば,IMTにより,最大吸気圧,呼吸筋耐久力,漸増負荷圧,運動耐容能,ボルグスケール,呼吸困難(TDI),健康関連QOL(CRQ)の全ての項目で有意な改善が得られている.従来のIMT機器は,内部のスプリングの長さを変えることにより抵抗を調節するthreshold型であった.最近,バルブ弁口面積をテーパリング方式により変化させるtapered型が開発され,臨床応用が始まっている.近年,IMTでは,持続時間よりも実施回数に重点をおいた方法が考案され,1回の実施を30回とする方式で最大吸気圧の増加が報告されている.今後,IMTに関しては,COPD以外の呼吸器疾患における有用性に関して,多施設多数例における臨床研究が待たれる.