著者
大原 信福 森田 俊治 小森 孝通 谷田 司 野田 剛広 今村 博司 岩澤 卓 保本 卓 足立 史朗 堂野 恵三
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.456-462, 2015-05-01 (Released:2015-05-16)
参考文献数
18
被引用文献数
1

下腸間膜動脈領域に形成された動静脈奇形(arteriovenous malformation;以下,AVMと略記)によって虚血性大腸炎が発症したと考えられた1例について報告する.AVMにより虚血性大腸炎を発症することはまれであり,本邦で初の報告例と思われるため報告する.症例は74歳の男性で,血便を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で左側結腸に高度の粘膜浮腫とうっ血を認め,虚血性大腸炎が疑われた.腹部造影CTでは左側結腸壁の造影不良と,下腸間膜動脈領域の2か所にAVMが指摘された.血管造影検査で下腸間膜AVMを確認し,引き続き塞栓療法を試みたが手技中に腸管浮腫が急性増悪したため中断した.結腸左半切除術を施行し,単孔式横行結腸人工肛門を造設した.術後は合併症なく経過し,術後7か月まで再出血を認めていない.
著者
野田 剛広 新毛 豪 清水 潤三 畠野 尚典 堂野 恵三
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.682-688, 2016-10-31 (Released:2016-11-10)
参考文献数
29

急性胆嚢炎に対する診療ガイドラインにおいては,発症後72時間以内の早期手術が推奨されているが,72時間以上経過した症例に対する手術成績は不明である.今回我々は,72時間以上経過した症例に対する緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術の手術手技と治療成績について検討した.2005-2014年の間に急性胆嚢炎と診断し,緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した233例を対象とした.発症後72時間以内の早期群(n=193)と72時間以降の後期群(n=40)に分類し解析を行った.平均手術時間は,早期群83分,後期群87分と差を認めなかったが,平均出血量は,早期群69mlに対し,後期群140mlと増加を認めた(p=0.0084).術後合併症,開腹移行率,術後在院日数は差を認めなかった.発症後72時間以上経過した急性胆嚢炎に対する緊急腹腔鏡下胆嚢摘出術は,安全に施行可能であり許容可能と思われた.