著者
岩月 奈都 久保田 勝俊 山本 喜之 中根 久美子 粕谷 法仁 植田 祐介 鈴木 和人 花之内 基夫
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.41-44, 2015 (Released:2015-07-10)
参考文献数
3

近年, HBs抗原陰性, HBs抗体もしくはHBc抗体陽性者のB型肝炎ウイルスが, 再活性化されることにより引き起こされるdenovoB型肝炎の重症化の報告がなされている。免疫抑制・化学療法患者が発症するdenovoB型肝炎は, 医療訴訟にまで発展することもあり, その対策として, 2009年1月に厚生労働省より『免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン』が公表され, 2013年には日本肝臓病学会より『免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン (改定版)』(以下ガイドライン) が公表され, 各施設での対応が急務とされている。当院でも, 化学療法委員会で協議され, 医療の安心・安全及び迅速化を提供するためHBc抗体の院内測定を実施することとなった。 調査期間中, HBc抗体が測定された理由は, 化学療法対象患者並びに免疫抑制剤使用患者, 輸血前感染症検査, ウイルス性肝炎検査であった。当院においても, ガイドラインに適応する症例は218例中15例あり, 通常の感染症スクリーニングでは見つけることの出来ないHBs抗原陰性かつHBc抗体陽性の患者は決して少なくない結果となった。 今後も免疫抑制・化学療法の対象患者は増加することが予想されるなか, 安心・安全な医療の提供の為にもガイドライン遵守の必要性が示唆された。
著者
長岡 智明 櫻井 清子 国枝 悦夫 渡辺 聡一 本間 寛之 鈴木 保 河川 光正 酒本 勝之 小川 幸次 此川 公紀 久保田 勝巳 金 鳳洙 多氣 昌生 山中 幸雄 渡辺 敏
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.239-246, 2002 (Released:2011-10-14)
参考文献数
16
被引用文献数
11

We have developed high-resolution voxel models of the whole body from MR images of Japanese adult male and female volunteers. These models can be used for dosimetry simulation of exposure to radiofrequency electromagnetic fields over 1GHz. The MR images were taken by making a series of scans over several days; that is, a subject was scanned in several blocks. Scan parameters were optimized for head and body, respectively, in order to get practical contrast and to save data acquisition time. An implement was used to keep the position and form of the subject. All of the MR images were converted to TIFF format. The continuities between different blocks of the data were corrected to form a whole body. Furthermore, the resolution of the images was changed into 2×2mm. Male and female models were segmented into 51 tissues and organs. This segmentation was performed manually using popular image-processing software. The developed models consisted of isotropic voxels with a side of 2mm. Although the masses of the skin and small-sized tissues and organs of the models deviated from the averaged values for Japanese due to the limitation of spatial resolution, the masses of the other tissues and organs and the morphometric measures were nearly equivalent to those of the average Japanese. The models are the first voxel models of the average Japanese that can be used for the dosimetry of electromagnetic fields over 1GHz. Furthermore, the female model is the first of its kind in the world. The models can also be used for various numerical simulations related to Japanese human bodies in other fields of research.
著者
榎木 勉 久保田 勝義 鍜治 清弘 長 慶一郎 山内 康平 椎葉 康喜 緒方 健人 菱 拓雄 田代 直明
出版者
九州大学農学部附属演習林
雑誌
九州大学農学部演習林報告 (ISSN:04530284)
巻号頁・発行日
no.98, pp.17-24, 2017-03

九州大学宮崎演習林内の冷温帯針広混交林に1971年に設定した調査地を2013年に復元し,森林構造と種組成を再調査した。1971年に林床を被覆していたスズタケは2013年には完全に消失した。その他の下層の木本も,シカが摂食しないシキミとアセビ以外は消失した。樹高2m 以上の木本も種数,幹数とも大きく減少した。特に胸高直径5cm 未満の木本は幹数が20%程度まで減少した。胸高直径5cm 以上の針葉樹は,同サイズの広葉樹よりも成長速度が速かった。死亡率は落葉広葉樹が常緑針葉樹や常緑広葉樹よりも低かった。モミはツガよりも成長速度が速く,死亡率が高かった。モミの優占度はツガよりも大きかったが,今後はツガの優占度が増加するかもしれない。しかし,シキミとアセビ以外の新規加入がみられないため,さらに長期的にはシキミとアセビが優占する林分になる可能性がある。In 2013, we reestablished study plots established in1971 in a cool temperate mixed forest in the Shiiba Research Forest, Kyushu University. We identified the trees measured in the former study, and measured stand structure and species composition again. The understory had mostly been denuded by sika deer browsing in 2013, while Sasa borealis covered the forest floor thickly in 1971. The number of species and stems of trees taller than 2m in height also decreased largely. Especially, the stem numbers of trees smaller than 5cm in diameter at breast height (DBH) decreased up to 20%. The growth rate of conifer larger than or equal to 5cm in DBH was larger than those of broad-leaved trees. The mortality of deciduous trees was smaller than those of evergreen trees. The larger growth rate of Abies firma corresponded to the larger dominance of A. firma than Tsuga sieboldii. The low mortality of T. sieboldii suggested that the dominance of T. sieboldii would increase in the future. Further, the stand would be dominated by two species sika deer cannot consume, Illicium anisatum and Pieris japonica subsp. japonica, because no species other than the two species regenerated in the stands.
著者
久保田 勝彦
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.88-96, 1981-09

天空照度とナンキョクオキアミ(Euphausia superba)群の日周鉛直移動との関連を明らかにするため, 南極海において, 1980年1∿2月水産庁開洋丸により調査を実施した天空照度と魚群探知機の記録を解析した。照度の最小値は, 00時付近で0∿30lx, 日出時(02時18分∿03時24分)には90∿520lx, 最大値は12時付近で30000∿124000lx, 日没時(20時13分∿22時47分)には420∿80lxを測定した。夜間(18時20分∿04時20分), オキアミ群の最大出現頻度は0∿20m層に認められ, その頻度は深度とともに減少している。昼間(08時20分∿16時20分)における, オキアミ群の最大出現頻度は20∿40m層に認められ, 0∿20m層および40∿60m層ではほぼ同じ値を呈しているが, 40m以深では深度とともに減少している。そして, オキアミ群の日周鉛直移動と照度との間に関係のあることが, 立証された。
著者
高山 好弘 安田 康晴 豊国 義樹 久保田 勝明 米川 力 山下 圭輔 鈴川 正之
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.88-90, 2013-04-30 (Released:2022-11-18)
参考文献数
15

背景:バイスタンダーCPR(BCPR)の実施率は年々増加しているが,その質と生存率については評価されていない。目的:BCPR(胸骨圧迫)の質と生存率について検討すること。対象:栃木県小山・芳賀地域MC協議会管内で発生した救急隊員目撃を除く心肺停止症例440件。方法:救急隊が傷病者接触時にBCPRの胸骨圧迫について,姿勢・深さ・テンポが適切に行われていたことが確認できた症例を有効群,不適切症例を無効群とし,1か月生存率を比較した。結果:BCPRの実施率は227/440件(51.6%)で,有効群は85/227件(37.4%)であった。1か月生存率は有効群7/85件(8.2%),無効群2/127件(1.6%)と有効群が有意に高かった(p<0.05)。結論:質の高いBCPR(胸骨圧迫)の実施率は50%未満であった。質の高い胸骨圧迫を行うことにより生存率が向上する可能性があることから,BCPRの質について正しく評価し,教育することが必要である。
著者
久保田 勝
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.687-692, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
12

健診でのスパイロメトリーによる気流閉塞(閉塞性換気障害)の検出は慢性閉塞性肺疾患(COPD)早期発見に重要である。スパイロメトリーを含めた呼吸機能検査の解釈は、被験者の測定値と同じ人種・民族の健常人データから性別・年齢・体格などの要素を独立変数として作成された予測式から算出された基準値との比較による相対的評価によって行われる。そのため、スパイロメトリーの評価には使用されている基準値を理解する必要がある。 日本では2001年に日本呼吸器学会(JRS)が公表した重回帰分析による予測式が広く利用されているが、2014年にJRSは年齢回帰をLMS法により解析した日本人成人の新しいスパイロメトリー基準値と正常下限値(LLN)を作成公表した。今回はこの新基準値を紹介するとともに、COPD早期発見のための気流閉塞診断における問題点を検討する。 気流閉塞の指標である1秒率(1秒量/努力性肺活量:FEV1/FVC)を新基準値と2001年基準値とで比較すると、男女とも新基準値で低下しているが、女性の1秒率LLNは新基準値のほうが大きくなっている。 気流閉塞の定義はスパイロメトリーで1秒率70%未満、COPD診断基準は、気管支拡張薬投与後の1秒率70%未満とされ、「70%未満」の固定値が適用されている。1秒率を新基準値に基づくLLNで検討すると、1秒率LLN 70%は男性60歳、女性70歳に相当する。すなわち、1秒率70%未満を気流閉塞の基準とした場合、高齢者以外は過小診断していることになる。高齢者以外は、1秒率70%以上であってもLLN未満の場合にはCOPDの可能性を疑う必要がある。