著者
及川 聡子 西 政佳 由比 進 柏木 純一 中島 大賢 市川 伸次 木村 利行 大平 陽一 長菅 輝義 黒田 榮喜 松波 麻耶 下野 裕之
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.259-267, 2019-10-05 (Released:2019-11-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

寒冷地における水稲栽培の作期拡大を目的として,雪解け後の春作業の制約を受けない初冬播き乾田直播栽培の可能性が検討されている.水稲の初冬直播き栽培の実用化においては,出芽率の向上が極めて重要な課題である.本研究では,初冬直播き栽培での出芽率向上のため,種子表面へのコーティング素材 3種類(鉄,カルパー,デンプン)を検討した.2016/2017年に岩手県において,初冬直播き栽培での出芽率は無コーティングでは2%に低下するのに対して,3つの素材のうち鉄をコーティングした場合のみ24%まで有意に向上した.鉄のコーティングによる出芽率の向上効果を2017/2018年に4品種(ひとめぼれ,まっしぐら,あきたこまち,萌えみのり)について検討した結果,無コーティングでは1~3%であった出芽率が鉄のコーティングによって11~30%に有意に向上した.岩手県以外の4地点(北海道,青森県,秋田県,三重県)でも,同様の結果が得られた.以上,種子表面への鉄のコーティングが初冬直播き栽培での出芽率向上に高い効果を示すことを明らかにした.
著者
実山 豊 市川 伸次
出版者
日本育種学会・日本作物学会北海道談話会
雑誌
日本育種学会・日本作物学会北海道談話会会報
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1-2, 2009-12

ダイズとサツマイモの混植栽培は,相互に成育が促進され双方の収量が増加すると伝承的に言われており,またサツマイモ草姿の特徴から,混植対象に対するリビングマルチ的な雑草防除効果が想起されるが,「コンパニオンプランツ亅と言われる科学的な理由付けは未だ為されていない.冷涼な気候の北海道でも,サツマイモ塊根及び茎葉のバイオマス生産がある程度のぞめるならば,雑草防除のほか,主作物収量と併せ,総合的な単位面積当りバイオマス生産量の増加が期待できると考えた.そこで本試行ではその検証のため,有機栽培圃場にて予備試験的に小圃場配置を設け,ダイズ及びサツマイモを無農薬栽培で単植または混植し,その収量形質を比較した.更に,除草(手取り除草)する処理区を組み合わせ,雑草の繁茂による作物成育への影響について調査,加えて,作物収穫物内における内生成分を調べ,混植あるいは雑草の,収穫物の質的形質または養分競合状況への影響を調査した.