著者
井上 一也 今泉 圭太 市毛 弘一 長尾 竜也 林 高弘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.11, pp.872-879, 2022-11-01

携帯電話に代表される移動体通信や室内無線通信の発展により,複雑化した電波伝搬環境を推定する技術の重要性が高まっている.移動通信システムにおける通信環境はマルチパス環境であり,さまざまな環境下における伝搬損失特性を推定できる電波伝搬モデルが不可欠である.著者らは以前に,空間画像データ及び数値パラメータを入力データとして,機械学習に基づく伝搬損失推定手法を提案した.この手法では,入力データには数値パラメータと画像データを使用していた.東京中心部で測定されたデータによって構成されたデータセットによるシミュレーションでは,全結合ニューラルネットワーク(FNN)と畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を組み合わせたモデルにより,FNNのみを用いたモデルよりも高い精度で伝搬損失を予測できることを確認した.本論文では,入力データを適切に選択し,CNN・FNNモデル構造の再検討を行うことにより,高精度な伝搬損失推定を目的とする.また,AP研伝搬データベースのデータセットを使用して,提案手法の有効性を検証する.
著者
鈴木 悠茉 市毛 弘一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.9, pp.106-110, 2022-09-01

本論文では,従来の学習モデルに複数スケールの画像特徴量を追加することで,低光量画像を高精度に鮮明化する手法を提案する.提案手法の有効性は,画像鮮明化のシミュレーションを通して評価される.
著者
森本 慎也 岩崎 翔 市毛 弘一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J104-A, no.12, pp.250-257, 2021-12-01

本論文では,スパースアレーアンテナの受信信号に対する適応ビームフォーミング手法,並びに仮想アレー受信信号の復調手法を提案する.著者らはこれまでに,実アレーの受信信号にKhatri-Rao (KR)積拡張処理を適用することで,到来方向(Direction-Of-Arrival; DOA)推定並びに適応ビームフォーミング性能の向上を確認している.しかしながら,ディジタル変調システムに仮想信号を用いる際には,仮想信号特有の性質から,実アレー領域の処理をそのまま採用することはできない.本論文では,拡張後の仮想信号に対応した新たな適応ビームフォーミング手法を検討し,仮想信号の復調時に位相情報を復元することによって,ビームフォーミング性能の改善を試みる.提案するビームフォーミング手法の性能は,計算機シミュレーションにより評価される.
著者
三留 綾 市毛 弘一 石井 六哉
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J89-D, no.6, pp.1369-1378, 2006-06-01

本論文では,人の直観性を伴った新たなユーザインタフェースとして,グローブやマーカ等の特殊な装置を必要としない簡単なハードウェア構成で手指形状を認識する手法を提案する.提案する認識手法は,手領域抽出部と手指形状認識部から構成される.手領域抽出部では,撮影する背景の制限を削減するために,背景がグレースケールの場合とカラーの場合の2パターンに分け,それぞれに対応したアルゴリズムにより手領域を抽出する.手指形状認識部では,抽出した手領域の画像を詳細に解析することにより,10種類の手指形状を認識する.入力する手の角度や腕の領域を制限せず,更に指同士が接している場合においても認識が可能になるようなアルゴリズムを提案する.提案手法により,背景がグレースケールの場合は10種類の手指形状を95.8%の精度で,背景がカラーの場合は同じく10種類の手指形状を93.3%の精度で認識している.また,これらの処理に要する時間は汎用コンピュータで数十 msであり,極めて短い時間であることを確認している.