著者
平松 和也
出版者
大阪府環境農林水産総合研究所
雑誌
大阪府環境農林水産総合研究所研究報告 (ISSN:18827659)
巻号頁・発行日
no.3, pp.7-10, 2010-03

キイロサナエAsiagomphus pryeriはサナエトンボ科アジアサナエ属に属する日本固有種で,本州西部・四国・九州・種子島に分布し,主に平地や低山地の流れに生息する。近畿地方では生息地が限られており,大阪府では準絶滅危惧種に指定されている。府内では豊能・三島・北河内・中河内・南河内・泉北で生息が確認されているが,近年の情報は少ない。筆者は府内北部の安威川において,本種の生息を確認したが,その生息地点において護岸工事を実施するとの情報を大阪府安威川ダム建設事務所より得た。そこで,本種の生息環境を調査し,幼虫の好む環境を把握するとともに,工事による影響を考察した。
著者
ハッサニン アミン 桑原 佐知 ヌルヒダヤット 塚本 康浩 小川 和重 平松 和也 佐々木 文彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.921-926, 2002
被引用文献数
3 57

エストロジェン様化合物の魚への影響を研究する目的で,2つの汚染河川(石津川と和田川)と対照地域に生息する成熟雄性コイのゴナドソマチックインデックス([精巣重量/体重]×100:GSI)と精巣の形態を1998年6月〜2001年3月までの期間調べた.石津川のノニルフェノール,ビスフェノールAと17β-エストラジオールの含有濃度は和田川の3〜4倍高かった.繁殖前期と繁殖期では,3地域のコイの体重に有意の差はなかった.石津川のコイの体重は繁殖後期でのみ和田川のものより小さかった(P<0.05).石津川に生息するコイのGSIと精巣重量は精巣周期の全期間で対照のものより小さく(P<0.05),和田川のコイと比較すると繁殖前期と後期でより小さかった(P<0.05).組織学的な異常は調べた全精巣で見られなかった.精巣の組織学的な所見から,石津川のコイの精子形成開始時期は他の地域のものに比べて遅延していた.これらの結果は,石津川の水中に含有するエストロジェン様化合物がコイの精巣の発達に有害な影響を与えているということを明らかに示している.