著者
平井 重三 平田 尚美 多田 英喜
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.354-360, 1966 (Released:2007-07-05)
参考文献数
7
被引用文献数
6 3

油処理によるイチジク果実の成熟促進について, 果実の発育と処理時期の関係および油の種類による効果の相違について, マスイドーフィンの第2期果を材料として実験を行なつた。1. 果実生長の第II期の末ごろ, 果径が約34.0mmに達した時, 果皮が緑色から黄緑色に変わり, 果頂部の目の部分が多少隆起して, 淡桃色から赤桃色に変わり, かつ花托内の小果が淡桃色から赤桃色に変つたころが, 油処理を行なつて成熟促進に効果のある時期であると判定された。2. 各種の植物油処理では, その沃素価の大小にかかわらず, 同様の促進効果が認められ処理後6日で成熟した。油処理された成熟果の大きさ, 糖, 酸含量および着色度など, 自然成熟果と差異がなかつた。3. 動物油処理は植物油よりも効果はやや劣つたが処理後8日で成熟し効果が認められた。4. 鉱物油処理は成熟促進効果は著しく劣り, その効果も不均一であつた。また流動パラフィンの効果はほとんど認められなかつた。
著者
中川 昌一 ブコバック M. J. 平田 尚美 黒岡 浩
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.9-19, 1968 (Released:2007-07-05)
参考文献数
16
被引用文献数
8 11

1. リンゴ Wealthy および日本ナシ新世紀の有種子果, ならびにGA7およびGA4処理による単為結実果について, その形態学的差異を調査した。ジベレリン処理果は有種子果にくらべて縦径は大きくなるが, 横径は変わりがないかあるいは小さかつた。有種子果における皮層組織の厚さは, 果実の基部が頂部および中央部より大きかつたが, ジベレリンによる単為結実果では逆に頂部が中央部および基部より大であつた。有種子果の基部における皮層の増加は, その組織の細胞数と関係があつた。リンゴの単為結実果の頂部組織には, 中央部および基部組織より細胞数が多く, また, 細胞も大きかつたが, 日本ナシの単為結実果では頂部組織により大きな細胞がみられた。有種子果とジベレリン処理による単為結実果の皮層組織における細胞分裂は, リンゴ果実では開花後3週から4週の間に, 日本ナシ果実では開花後4週から5週の間に停止した。2. リンゴと日本ナシの有種子果および単為結実果へ開花後2週間めに果実の側面にジベレリンを処理すると変形果を生じた。このリンゴおよび日本ナシの変形果では, ジベレリンを処理しない側の組織にくらべて処理した側の組織で細胞数は増加し, 細胞も大であつた。この傾向は, 有種子果より単為結実果において顕著であつた。日本ナシにおいては, 開花後4, 6および8週間めにGA7を処理したが, いずれの場合も処理しない側にくらべて細胞数も細胞の大きさも増加し, その結果, 皮層組織の厚さは著しく増大した。日本ナシにGA3を処理した場合は, 処理時期のいかんにかかわらず変形果を誘起することはできなかつた。
著者
小元 敬男 文字 信貴 平田 尚美 梶川 正弘 竹内 利雄 吉野 正敏
出版者
大阪府立大学
雑誌
自然災害特別研究
巻号頁・発行日
1985

本年度は、降ひょうと突風の実態の把握及び基礎研究に必要なデータを得る目的で、分担者のほゞ全員が群馬県で観測を行った。6月前半には、レーダー観測、突風観測、ひょう粒の分析の実験を実施、7月15日〜8月15日の期間には上記の他に高層気象観測、気圧分布観測、短期間ではあるがドプラーソーダによる観測を行った。更ル、5月15日〜8月15日の期間、記録計による100地点での降ひょう観測を行うなど、北関東夏季の積乱雲対象としてかつてない充実した研究観測を実施したのであるが、昨夏は群馬県における雷雨は異常に少なく予期したほどのデータは得られなかった。しかし、この観測期間中に観測本部のある群馬県農業総合試験場にひょうが降り、また地元の協力者から分析用の大きなひょう粒が提供されるなど、ひょうの基礎研究に役立つ資料が得られた。更に同地域における下層大気の昇温が積乱雲発達に及ぼす影響の研究に必要なデータも得られた。例年より少なかったが、上記期間中に発生したひょう害及び突風(災)害の現地調査も行った。その他の分担研究課題の成果として、ひょう害の変遷に関する研究では、関東甲信地域のひょう害は1950年頃までは5月下旬を中心とするピークが一つあっただけであるが、その後7月下旬を中心とするピークが現れ顕著になりつつあることなど幾つかの新らたな気候学的事実が明らかにされた。また、防ひょうネットの研究では、千葉県の実験地に激しい降ひょうがあり、実際の場合について、種々の網目のネットの被害防止効果を測定できた。無被害地の実験データと併せて、防ひょうネットの最適網目は10mmであることが確められた。激しい雷雨の常習地域で長期にわたって連続観測を行ったにも拘ず、異常年に当ってしまい、充分データを得ることができなかった。この種の研究は根気よく続ける必要がある。
著者
小原 均 岡本 敏 松井 弘之 平田 尚美
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.187-193, 1992-03-25

キウイフルーツ'ヘイワード'の果実肥大と成熟時の品質に対する葉果比(1.5, 3, 4.5, 6)の影響を調査した.結果枝に環状剥皮を行うと葉果比が増加するに従って果実重量が増加したが,葉果比1.5では果実を適正または積極的に肥大させるまでには至らず,葉果比3では通常の果実の肥大(約100g)を示し,葉果比4.5及び6では肥大が促進された.一方,結果枝に環状剥皮を行わないと,葉果比にかかわらず果実の大きさはほぼ同じであった.KT-30処理果実でも肥大に対する葉果比の影響は,KT-30無処理果実と同様な結果であったが,結果枝に環状剥皮を行った葉果比4.5及び6の果実では,著しく肥大が促進された.正常な果実の肥大のためには,葉果比が3であれば十分であり,また,KT-30による果実肥大促進にも葉果比が3であれば十分であった.なお,果実肥大に対するKT-30の効果は,果実のsink能を高めることであることが,葉果比の面からも推察された.葉果比が果実の品質に及ぼす影響は,特に糖度に認められ,結果枝に環状剥皮を行うと,KT-30処理にかかわらず葉果比1.5で低く,また,KT-30無処理果実では葉果比3でも低かった.正常な品質の果実に生長するためには,葉果比で4.5は必要であると推察された.