- 著者
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江口 允崇
平賀 一希
- 出版者
- 日本財政学会
- 雑誌
- 財政研究 (ISSN:24363421)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, pp.141-156, 2009 (Released:2022-07-15)
- 参考文献数
- 29
- 被引用文献数
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本稿では,政府消費,公共投資,政府雇用のそれぞれが,経済に与える影響の違いについて分析する。そのために,政府支出の項目を政府消費,公共投資,政府雇用の3つに分けた動学的一般均衡モデルによるカリブレーション分析を行うとともに,そこで得られたインパルス・レスポンスを,1969年から2008年までの日本のデータを使ったVARモデルのインパルス・レスポンスと比較した。 カリブレーション分析とVAR分析の結果は概ね整合的であり,次のような結果が得られた。第1に,公共投資は,消費と投資に対してプラスの効果を持つ。第2に,政府消費は,消費に対してはマイナス効果を持つ一方で,投資に対してはプラスの効果を持つ。第3に,政府雇用は,消費と投資に対してともにマイナスの効果を持つ。これにより,政府支出の増大による景気対策,または政府支出の削減による財政再建は,その内容によってまるで違う効果が現れてしまうことが示された。