- 著者
-
金子 俊之
河本 高伸
菊池 弘恵
塩田 真夫
弥武 経也
飯野 久和
辻 啓介
- 出版者
- The Japan Society of Home Economics
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.4, pp.245-254, 1993-04-15 (Released:2010-04-23)
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
-
3
イソマルトオリゴ糖の摂取が, 腸内環境と便通に及ぼす影響を明らかにするために, 腸内Bifidobacteriumを増殖させる有効量である1日10gもしくは15gを有志健常人に摂取させて検討した. 試験期間は5週間で, 1週目は摂取前, 2~3週目は摂取, 4週目は摂取休止, 5週目は再摂取とした.1) 1日10gの摂取により, Bifidobuterium菌数及び占有率の有意な上昇, Lactobacillus菌数の有意な増加, Bacteroidaceae占有率の有意な減少, Clostridium出現の抑制など, 腸内フローラが改善された.2) 同時に, 糞便pHは有意に低下し, 短鎖脂肪酸は増加傾向を, 腐敗産物は減少傾向を示すなど, 腸内環境が改善された. しかも, 試験の後半ほど効果が著しいことから, より長期の摂取が効果的であると考えられた.3) 摂取前の排便回数が少ない (3回/5日以下) 便秘傾向者では, 用量依存的 (10gと15g/日) に便通が改善された. しかも, 下痢などの重篤な副作用は伴わなかった.4) 相関係数の検定より, 糞便に含まれる酢酸は, 腸内環境及び便通の改善と密接な関係を持つと考えられた.