著者
菊池 弘恵 長谷川 悠子 三宅 裕子 大野 典子 山根 正也 細井 慶太 閔 庚燁
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.176-181, 2013-08-31 (Released:2016-01-26)
参考文献数
12

フィルム材の鼻根部への貼付,熱吸収シートの鼻根部への貼付と白色ワセリンの非侵襲的陽圧換気療法(Noninvasive Positive Pressure Ventilation: NPPV)マスク面への塗布の3つの方法によるNPPVマスク接触部の皮膚の発赤発生率の低減効果を41例の患者を対象として一部前向き介入研究を含む観察研究で比較検討した.鼻根部の発赤発生はフィルムを貼付した20例では11例(55%),熱吸収シートを貼付した7例では4例(57%),白色ワセリンを塗布した例14例では1例(8%)であり,白色ワセリンが他の2法より有意に少なかった(p<0.05).また白色ワセリンのもつ,ずれ応力の低減性や保湿性は褥瘡予防ケアに基づいており,皮膚の脆弱な高齢者でも安全に使用できるだけでなく管理が簡便で経済的な方法であることが示された.白色ワセリンをマスクの皮膚接触面に塗布する方法はNPPVマスクによる皮膚障害を予防する方法として広く利用されることを推奨したい.
著者
金子 俊之 河本 高伸 菊池 弘恵 塩田 真夫 弥武 経也 飯野 久和 辻 啓介
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.245-254, 1993-04-15 (Released:2010-04-23)
参考文献数
18
被引用文献数
3

イソマルトオリゴ糖の摂取が, 腸内環境と便通に及ぼす影響を明らかにするために, 腸内Bifidobacteriumを増殖させる有効量である1日10gもしくは15gを有志健常人に摂取させて検討した. 試験期間は5週間で, 1週目は摂取前, 2~3週目は摂取, 4週目は摂取休止, 5週目は再摂取とした.1) 1日10gの摂取により, Bifidobuterium菌数及び占有率の有意な上昇, Lactobacillus菌数の有意な増加, Bacteroidaceae占有率の有意な減少, Clostridium出現の抑制など, 腸内フローラが改善された.2) 同時に, 糞便pHは有意に低下し, 短鎖脂肪酸は増加傾向を, 腐敗産物は減少傾向を示すなど, 腸内環境が改善された. しかも, 試験の後半ほど効果が著しいことから, より長期の摂取が効果的であると考えられた.3) 摂取前の排便回数が少ない (3回/5日以下) 便秘傾向者では, 用量依存的 (10gと15g/日) に便通が改善された. しかも, 下痢などの重篤な副作用は伴わなかった.4) 相関係数の検定より, 糞便に含まれる酢酸は, 腸内環境及び便通の改善と密接な関係を持つと考えられた.
著者
金子 俊之 河本 高伸 菊池 弘恵 福井 史生 塩田 真夫 弥武 経也 高久 肇 飯野 久和
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.1211-1220, 1992-08-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
22
被引用文献数
6 10

イソマルトオリゴ糖の栄養学的特性と消化性について,フラクトオリゴ糖,ショ糖およびマルトースとの比較の下に,各糖質20%添加飼料によるラット35日間飼育試験と,消化管内の条件を想定したin vitro消化性試験とにより検討した. (1) ラヅトの便性状,飼料効率および消化器重量の比較から,イソマルトオリゴ糖の消化性は難消化性糖と易消化性糖との間に位置づけられた.さらに,飼育ラットの体重増加量と摂取エネルギー量の比較から,イソマルトオリゴ糖のエネルギー値は,ショ糖およびマルトースのおよそ80%と推定された. (2) イソマルトオリゴ糖は,ラット血清の中性脂肪と遊離脂肪酸を低下させたが,この作用は難消化性のフラクトオリゴ糖に準じるものであった.また,イソマルトオリゴ糖を長期間連続して多量に摂取しても,空腸粘膜のイソマルターゼ活性は誘導されなかった. (3) イソマルトオリゴ糖は,唾液・膵液アミラーゼおよび胃酸では全く分解されなかった.小腸粘膜酵素ではある程度は消化されるものの,消化性は緩慢でイソマルトースのおよそ半分であった. 以上より,イソマルトオリゴ糖は小腸で部分的に消化されるものの,残る未消化部分は大腸に到達すると考えられた.