著者
御前 明洋
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

白亜紀の軟体動物殻表面には付着生物化石が普通に見られることがわかった.ノストセラス科アンモノイドPravitocerasやDidymocerasの殻表面に高い頻度でナミマガシワ科二枚貝が付着していたことを明らかにし,その産状の解析から,これらのノストセラス科異常巻アンモノイドの古生態の推定を行った.大型アンモノイドに付着するベッコウガキ科二枚貝の産状より詳細な埋没過程を復元した.
著者
御前 明洋
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

白亜系鳥屋城層において,Canadoceras Kossmati,Sphenoceramus schmidtiなどが産出する層準と,Didymoceras awajienseが産出する層準の間に,Diplomoceras sp.などの特有のアンモノイドのみを産出する層準があることがわかった.さらに詳しく検討する必要があるが,この層準は,蝦夷層群などのMetaplacenticeras subtilistriatum等を含む層準に相当する可能性が考えられる.淡路島に分布する和泉層群から産出するPravitoceras sigmoidaleを詳しく観察すると,完全に平面的なものだけでなく,フック部の付け根が少しゆがんでいるものがあることがわかった.動漂構モデルを用いて形態解析を行った結果,1)典型的なD.awajiense,2)昨年度の調査で明らかになった平面形に近い形態のD.awajiense,3)フック部がゆがんだP.sigmoidale,4)ほぼ平面的なP.sigmoidaleのそれぞれの形態の差異はかなり連続的なものであることがわかった.また,鳥屋城層で産出するEubostrychoceras elongatumやD.awajienseなどの異常巻きアンモノイドと,東京大学総合研究博物館や東北大学総合学術博物館に所蔵されているいくつかの標本の比較検討を行い,これらの異常巻きアンモノイドの分類学的研究を行った.夏には,北海道の羽幌町周辺の白亜系の調査を行った.Inoceramus uwajimensisの産状と堆積相との関係を詳細に観察した結果,I.uwajimensisの生息姿勢や埋積過程を考える上で重要なデータを得た.また,パキディスクス科大型正常巻アンモノイドの両面全体にPycnodnteが付着している重要な標本を採集した.
著者
御前 明洋 永広 昌之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.129-145, 2004 (Released:2005-01-07)
参考文献数
27
被引用文献数
9 10

南部北上山地, 気仙沼北方上八瀬-飯森地域のペルム系を, 下位より, 石灰岩や砂岩主体の中平層, 主に黒色泥岩よりなる細尾層, 石灰岩, 石灰質泥岩および砂岩主体の上八瀬層, 黒色泥岩が卓越する黒沢層に区分した. 上八瀬層は岩相の側方変化が大きく, 北部では石灰岩や石灰質泥岩が, 南部では砂岩が卓越する. また, フズリナ類やアンモノイドを中心に多くの化石の産出層準を明らかにし, 細尾層中部からDemarezites, 上部からWaagenocerasやParaceltites, 細尾層上部~上八瀬層最下部からPseudodoliolinaの産出を報告した. また, Monodiexodina matsubaishiがLepidolinaの初産出層準より上位からも産出することを初めて確認した. 従来報告されたフズリナ類・アンモノイド化石データと今回のそれを合わせて判断すると, 中平層~細尾層下部はSakmarian~Kungurian, 細尾層中部はRoadian, 細尾層上部~上八瀬層下部はWordian, 上八瀬層上部~黒沢層下部はCapitanianに対比される.