著者
御前 明洋
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

白亜紀の軟体動物殻表面には付着生物化石が普通に見られることがわかった.ノストセラス科アンモノイドPravitocerasやDidymocerasの殻表面に高い頻度でナミマガシワ科二枚貝が付着していたことを明らかにし,その産状の解析から,これらのノストセラス科異常巻アンモノイドの古生態の推定を行った.大型アンモノイドに付着するベッコウガキ科二枚貝の産状より詳細な埋没過程を復元した.
著者
松井 和幸
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

平成19年度は、過去2年間分のタケ出土遺跡資料に追加して、全国の遺跡の発掘調査報告書から出土タケ資料をさらに抽出した。最終的には過去3年分で490遺跡を把握し、全てをデーターベース化した。今年度収集した資料からも以下の結論は、昨年度までに得た結果とほとんど変わらないが、真竹に関しては、新たな知見を得た。以下にまとめる。まず現状の調査から、矢竹等の細いタケ類は、縄文時代にまで遡るのは間違いない。孟宗竹は、渡来の時期は応仁年間(1460年代)と元文元年(1736)の二説があるが、何れにしろかなり後の時代に渡来したと考えられる。長岡京跡から出土したと伝えられる孟宗竹資料も、出土時期が不明確であることが判明した。したがって孟宗竹とは必ずしも特定できないが、大口径のタケは何れも中世以降の出土である。真竹とともに導水管、配水管などへの利用もこの時期に始まっている。真竹のような、直径数cmのタケ類は、12世紀頃からは遺物として把握できる。ただ、法隆寺観音菩薩立像(百済観音)の光背の支柱は竹を忠実に模している。長さ218.6cm、支柱径5.4cm〜7.7cmで真竹に匹敵する太さの竹である。この百済観音像は7世紀後半頃に作られたと推定されている。したがって、真竹の類の日本列島への渡来は古代まで遡る可能性が出てきた。このように、タケの種類により日本列島への渡来の時期はどうやら異なるようであり、このことから、人々のタケ利用の仕方も異なったようである。
著者
富岡 優子 北澤 菜月 大橋 有佳
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

藕糸織(ぐうしおり)は蓮の繊維から作られた糸(藕糸)を使用した織物である。植物学者大賀一郎は寛文11(1971)年の黄檗宗開祖・隠元隆琦の賛を有す福聚寺(北九州市)の「藕糸織仏画」を日本最古の藕糸織と鑑定した。しかし本品が藕糸という科学的根拠は示されておらず、2018年に赤外分光分析装置と実体顕微鏡を用いた非破壊の分析を改めて行った。結果、当該作品は藕糸と絹糸を撚った糸が使用されている可能性がきわめて高いことが判明したが、当該事例のように科学的根拠を伴わない藕糸織が多々ある。本研究は藕糸織作品について非破壊による再調査を行い、藕糸織がいかなるものか、客観的に提示することを目的とする。
著者
真鍋 徹 川窪 伸光
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、身近であるが日常的な生活リズムでは認識しにくい自然現象を、インターバル撮影によって一次映像資料として記録し、二次映像資料として編集し、活用するまでの一連の手法の構築を目的としたものである。短時間スケールの現象として照葉樹極相林の林床における光環境の日変化や中時間スケールの現象として水落しによる溜池の水量の変化を「視覚化」するための現地撮影等を実施し、短時間及び中時間スケールの撮影手法はほぼ確立することができた。さらに、これら現地撮影で得られた一次映像資料を展示用画像とするための編集手法を検討し、当該自然現象の「知覚化」のための編集手法もある程度構築できた。
著者
籔本 美孝 上野 輝彌
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
北九州市立自然史博物館研究報告 (ISSN:0387964X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.143-161, 1984-09-20 (Released:2023-11-24)

Recent studies which drastically changed the systematic position of Oryzias latipes stimulated us to investigate and provide complete osteological illustrations and description of the rice fish which has been one of the most popular fishes in Japan.The important osteological features of Oryzias latipes Temminck et Schlegel include loss of some elements, and specialization in structures related to feeding and sexual dimorphism. Bony elements lost in Oryzias latipes are parietals, prevomer, infraorbital bones, supraorbitals, intercalars, orbitosphenoid, basisphenoid, 1st and 2nd pleural ribs, ectopterygoids, metapterygoids, 1st pharyngobranchials, upper hypohyals, interhyals, supracleithra, mesocoracoids. Morphological specializations include sexual dimorphism in tooth forms: teeth are larger and fewer in male with robust teeth at the posterior end of the premaxillary. Branchial skeletons have special enlargement of 3rd pharyngobranchials and pharyngeal bones. Number of vertebrae is 27–30 with 11–12 abdominal and 16–18 caudal vertebrae.
著者
上野 晶子
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

Nederlandsch Magazijn(マガゼイン)を研究の中核として、その翻訳書及び古賀謹一郎による読書録を分析した。具体的には、①マガゼインの項目及び掲載ページをデータベース化し、古賀及び蕃書調所旧蔵本にみられる書込みなどを追加した対応表を作成した。②国内に残存する「和蘭宝凾(蘭人日本之記)」を確認し、その原文である「JAPAN」(Nederlandsch Magazijn 1839年)との比較をおこなった。③マガゼインを底本とする史料を分析し、蕃書調所による「官板 玉石志林」の翻訳作業の過程を考察した。④古賀謹一郎による日誌及び蔵書目録を調査した。
著者
籔本 美孝 坂本 陽子 刘 焕章
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
北九州市立自然史・歴史博物館研究報告A類(自然史) (ISSN:13482653)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.69-86, 2010-03-31 (Released:2021-05-05)
参考文献数
31

The osteological description and illustrations of the cyprinid fish Xenocypris argentea from Taoyuan, Hunan Province and Guixi, Jiangxi Province, China are provided for studies on fossil cyprinid fishes found in East Asia and Japan including Iki Island, Nagasaki Prefecture, with brief comparison to a cultrin species, Hemiculter leucisculus and some other xenocyprinin genera and species.
著者
Brito Paulo M. Yabumoto Yoshitaka
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
北九州市立自然史・歴史博物館研究報告A類(自然史) (ISSN:13482653)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.107-136, 2011

<p>The Lower Cretaceous Crato and Santana formations have provided one of the richest Mesozoic fish faunas from South America. An updated review of this ichthyofauna, comprising, 28 nominal species, is presented here. Contrary to the previous idea that the Araripe Basin had an endemic fauna related to the opening of the South Atlantic Ocean, it is now accepted that this fauna is instead related to that of the Tethys. A marine connection with the Araripe Basin is indicated by the presence of species closely related to those of other assemblages occurring in the western part of the Tethys. However, the absence of marine invertebrates suggests non-marine conditions for this basin, with only intermittent connections to the epicontinental seaway. Some of the fishes found in the Crato Formation are juveniles of the species found in the Santana Formation, suggesting several important paleoecological implications related to the reproduction of these fishes and using there as a nursery.</p>