著者
足立 智英 小林 祥泰 山下 一也 岡田 和悟 恒松 徳五郎
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.495-498, 1992-10-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
10

視床出血は片麻痺, 意識障害, 知覚障害等の症状にて発症することが多い.いわゆる視床症候群では, その一症状として小脳性と考えられる運動失調を呈することが知られているが, 他の神経症状を伴っていることが多く, 運動失調のみを呈することは極めて稀であるとされている.今回我々は, 運動失調を主徴とし, CT上左視床外側に限局した視床出血を認めた例を経験した.視床出血で, 運動失調を主徴とした症例は, 過去にも自験例を含めて4例の報告しかなく, いずれの例も視床外側部に一致した出血巣を認めている.本例は, 運動失調を主徴とする場合に小脳のみならず視床出血の可能性を考える必要があることを示しており, 病巣の局在診断上注意を要する症例と考えられたので報告する.
著者
下手 公一 朝長 正徳 葛原 茂樹 山之内 博 吉村 正博 小林 祥泰 木谷 光博 山下 一也 村田 昭博 藤原 茂芳 恒松 徳五郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.513-518, 1987-11-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10

小脳の加齢に伴う萎縮に関する報告はいくつかあり, すでに我々も, 20歳代から70歳代の正常人でCTにおける小脳の加齢性萎縮は, 大脳に比べて軽度認められることを報告している. 今回は, 臨床的及び病理学的に痴呆, 中枢神経系の病変を有さない60歳から102歳の正常老年者の剖検脳142例を対象として, 小脳の加齢性萎縮及び動脈硬化と小脳萎縮との関係について検討した.脳切時に小脳虫部, 小脳半球断面をコピーし, パーソナルコンピューターに接続した Digitizer で断面積を計測し, さらに, 小脳半球のプルキンエ細胞数や脳重量, 小脳重量も計測して, それぞれ年齢との関係を検討した. また, 椎骨脳底動脈系の動脈硬化を(-)から(2+)に分類して, 小脳萎縮との関係を検討した. 結果は, 脳重量, 小脳重量, 小脳虫部断面積, 小脳半球断面積のいずれにおいても年齢と有意の負の相関を示し, 特に80歳を越えてから小脳の萎縮が著明になった. プルキンエ細胞数は, 小脳萎縮よりも早期から加齢に伴い著明に減少した. また, 椎骨脳底動脈系の動脈硬化が強くなるにつれて, 小脳萎縮も強くなり, プルキンエ細胞数も著明に減少した.以上より, 老年者において加齢及び動脈硬化は, 小脳萎縮の重要な因子であることが示唆された.
著者
山下 一也 小林 祥泰 恒松 徳五郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.179-184, 1992-03-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
20
被引用文献数
9 13

島根県隠岐郡知夫村在住の60歳以上の健常老年者113人を対象に, 老年期の独居生活と抑うつ状態および主観的幸福感との関連についての検討を, 独居老年者 (独り暮らし) 33人と同居老年者 (配偶者と2人暮らし) 80人の2群に分け行った. 抑うつ状態の尺度には Zung の自己評価式抑うつ尺度 (SDS) を, また, 主観的幸福感の測定尺度としては, モラールスケールを用いた.SDSの比較では独居老年者のほうが有意に抑うつ状態度が高かった (p<0.01). SDS48点以上の抑うつ状態の比率をみると独居老年者は33人中6人 (18.2%), 同居老年者は80人中5人 (6%) であった (0.05<p<0.1). モラールスケールの総得点では, 同居老年者のほうが, 有意に高かった (p<0.01). 各項目別にみてみると, 独居老年者の方が「寂しいと感じることがある.」と答えた率が高かった (0.05<p<0.1).以上から独居老年者では同居老年者に比して, やや抑うつ傾向にあり, 人生の満足度も低いことが示唆された.