著者
藤原 茂芳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1279-1283, 1992-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
19

脳のアミロイドアンギオパチー(cerebral amylold angiopathy: CAA)は,脳出血の原因の一つとして,重要視されている.典型例では,高血圧の既往の無い高齢者に,再発性の脳葉型の脳出血を来し,重篤な身体後遺症のほか,脳血管性痴呆の原因ともなる.脳外科的処置が禁忌となるなど,高血圧性脳出血とは異なる治療が必要であるが,術前診断は,従来困難とされていた.アミロイド蛋白の分析や遺伝子解析が進み,最近,髄液中のcystatin Cの濃度を測定することにより,術前・生前診断の可能性が開けてきた.本稿ではCAAの基礎から,臨床像を振り返り,新しい診断法について述べ,新たな治療法の可能性を探る.
著者
下手 公一 朝長 正徳 葛原 茂樹 山之内 博 吉村 正博 小林 祥泰 木谷 光博 山下 一也 村田 昭博 藤原 茂芳 恒松 徳五郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.513-518, 1987-11-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10

小脳の加齢に伴う萎縮に関する報告はいくつかあり, すでに我々も, 20歳代から70歳代の正常人でCTにおける小脳の加齢性萎縮は, 大脳に比べて軽度認められることを報告している. 今回は, 臨床的及び病理学的に痴呆, 中枢神経系の病変を有さない60歳から102歳の正常老年者の剖検脳142例を対象として, 小脳の加齢性萎縮及び動脈硬化と小脳萎縮との関係について検討した.脳切時に小脳虫部, 小脳半球断面をコピーし, パーソナルコンピューターに接続した Digitizer で断面積を計測し, さらに, 小脳半球のプルキンエ細胞数や脳重量, 小脳重量も計測して, それぞれ年齢との関係を検討した. また, 椎骨脳底動脈系の動脈硬化を(-)から(2+)に分類して, 小脳萎縮との関係を検討した. 結果は, 脳重量, 小脳重量, 小脳虫部断面積, 小脳半球断面積のいずれにおいても年齢と有意の負の相関を示し, 特に80歳を越えてから小脳の萎縮が著明になった. プルキンエ細胞数は, 小脳萎縮よりも早期から加齢に伴い著明に減少した. また, 椎骨脳底動脈系の動脈硬化が強くなるにつれて, 小脳萎縮も強くなり, プルキンエ細胞数も著明に減少した.以上より, 老年者において加齢及び動脈硬化は, 小脳萎縮の重要な因子であることが示唆された.