- 著者
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戸谷 友則
- 出版者
- 一般社団法人日本物理学会
- 雑誌
- 日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.1, pp.23-29, 2007-01-05
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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超高温プラズマの火の玉として誕生した宇宙は,誕生後およそ40万年で水素原子核と電子の再結合が起こり,中性化したと考えられている.しかし,現在の宇宙に存在する水素原子のほとんどは再び電離されていることが知られている.何らかの過程で再び電離状態に戻ったのである.これを「宇宙の再電離」と呼び,宇宙誕生後10億年よりは昔に起こったことが分かっているが,具体的な時期や原因は不明で,初代天体形成と関連して宇宙論の重要問題の一つである.近年,目覚ましい観測技術の進展による多面的なアプローチで,再電離の手がかりが少しずつ増えてきている.すばる望遠鏡による日本の貢献なども交えて最近の状況を紹介する.