著者
花見 仁史 秋山 正幸 中西 康一郎 松浦 周二
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

すばる望遠鏡で検出した約10 万個の銀河について、赤方偏移、星質量、吸収量、星形成率を出し、多波長データベースを作成した。また、この一部の約1000 個の赤外線銀河について、それらの活動起源を星形成、活動的中心核、星形成+活動的中心核に分類し、星形成よりも巨大ブラックホールが潜む活動的中心核が卓越する後者2つの活動が赤方偏移1前後で急激に進化していること、また、その質量膠着率と成長率を明らかにした.
著者
戸谷 友則 太田 耕司 岩室 史英 秋山 正幸 田村 直之
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

現在の最新宇宙論における重要問題はいくつかあるが、その最大のものは「宇宙のダークサイド(暗黒面)」という言葉で以下の三つにまとめることができる。すなわち、(1)宇宙を加速膨張させる「ダークエネルギー」、(2)宇宙の重力を支配する「ダークマター(暗黒物質)」、そして(3)宇宙の晴れ上がりから最初の天体形成と宇宙再電離をつなぐ「ダークエイジ(暗黒時代)」である。その中でも、ダークエネルギーは現代物理学の根源的な改訂につながる可能性すら秘めた、とくに重大な問題として認識されている。すばる望遠鏡の新観測装置FMOSを用いたバリオン振動探査計画により、このダークエネルギーに迫る事ができると期待されている。本研究の目的は、このバリオン振動探査計画のサーベイデザインを検討し、FMOS完成の際にすみやかに観測提案書を作成する準備を進める事にある。この目的のため、戸谷を中心に分光ターゲット銀河選定の手法や実現性を詳細にしらべた。「すばるディープフィールド」や、「すばるXMM-Newtonディープフィールド」と呼ばれる領域のすばる望遠鏡を中心とする膨大なデータをもとに、バリオン振動探査に使用できる銀河が十分に存在するかどうかを精査した。その結果、バリオン振動探査に十分な数の銀河があり、また、イメージングサーベイデータから測光的赤方偏移計算の手法により効率よく選択できる事も判明した。また、メンバーがハワイに集まってミーティングを開催し、FMOS装置に対する理解を深めるとともに、今後の問題点を洗い出して計画の推進に役立てた。国際的な注目も高く、国際会議で進捗状況を報告した。
著者
秋山 正幸 大屋 真
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

広視野補償光学を実現するトモグラフィー波面推定の新しいアルゴリズムとして、複タイムステップ・トモグラフィック波面推定の手法を、すばる望遠鏡の持込み装置である多天体補償光学実証機 RAVEN を用いて実証した。RAVEN の波面センサーの解析により、各高さの大気揺らぎが風向きにより時間と共に移動していること、相関のピークの強度は100ms程度までは強く、この時間間隔では大気揺らぎの各層が「凍結して移動している」と見なせることがわかり、複タイムステップ・トモグラフィック波面推定の有効性が実証された。