- 著者
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大橋 幸泰
清水 有子
平岡 隆二
岸本 恵実
折井 善果
牧野 元紀
- 出版者
- 早稲田大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2017-04-01
2019年度も前年度に引き続き、世界各地に散在しているキリシタン関係史料の調査を進め、科研メンバーの研究課題に有益な成果が得られた。ポルトガルのアジュダ図書館・エヴォラ公共図書館における調査では、キリシタンが殉教者として認定されるために必要とされた情報・証言の史料や、イエズス会日本管区代表プロクラドールの関係史料を見いだした。スペインの王立アカデミー図書館における調査では、「鎖国」へ向かう時期の日本の殉教報告、教皇への書翰の作成に関する史料、ヨーロッパで日本布教をめぐる主導権争いの史料などを発見した。国内では、国立公文書館のほか、高知・長崎・大分・天草などで調査を行い、キリシタン禁制関係の史料を採集した。これにより、キリシタン禁制政策を維持する宗門改・類族改の実情を明らかにできる。ただし、年が明け新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年3月の調査が不可能になった。そのため、一部の予算を2020年度に繰り越し、調査予定を繰り延べた。一方、2019年度で特筆するべき点は、6月22日にシンポジウム「近世東アジアにおけるキリシタンの受容と弾圧」を早稲田大学で開催したことである。清水有子「日本におけるキリシタン禁令の成立過程―正親町天皇の永禄8年京都追放令を中心に―」、マルタン・ノゲラ・ラモス「失われたキリシタン民衆の声を求めて―島原天草一揆後の排耶書を中心に―」、ピエール・エマニュエル・ルー「日本から中国までの禁教―清代の絵踏を中心に―」、牧野元紀「近世ベトナムにおけるキリシタンの受容と弾圧」の4本の報告と、三野行徳「支配・統治の仕組みとしてのキリシタン禁制・弾圧を考える」の1本のコメントを用意し、近世東アジアのキリシタンをめぐる対応について、共通点・差異点を議論した。50人以上の参加者を得て、有意義な討論ができたと思う。