著者
石川 敏三 仲西 修 掛田 崇寛 山本 美佐 古川 昭栄 伊吹 京秀 徳田 信子 石川 浩三 鈴木 秀典
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

慢性疼痛はしばしば不安や鬱を併発し、極めて難治性である。そこで、痛覚ー情動系における分子メカニズムを解明し、また神経栄養因子(BDNF)治療応用について検討した。その結果、前帯状回や脳幹部(網様体)におけるモノアミン変調に随伴したBDNFの機能低下が慢性疼痛や気分障害に関連すること、またカテーコール化合物や磁気治療の有用性が判明した。慢性疼痛の治療法に新たな指針を提唱するものと考えられる。
著者
山本 悟 西 光晴 佐々木 宏典 石川 浩三 安田 聖子 澄川 泰弘 岸下 裕輔 井田 唯香 吉田 充広 掛田 崇寛 石川 敏三
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.215-221, 2011-12-10 (Released:2013-03-16)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

We have newly developed a low-powered magnetic stimulator (MS) that is characterized by two different frequency modes: 2 kHz (low frequency) and 83 MHz (ultra-short wave). It is suggested that MS reduces rat neuropathic pain associated with the prevention of neuronal degeneration. However, little is known about certain mechanisms of MS, at least, applicable value of the analgesic approaches in clinical situation. Thus, we aimed to determine the analgesic effects of MS in human with shoulder stiffness. We recruited volunteers with shoulder stiffness (MS was applied once for 10 min.) and with acute pain (MS was applied once a day (10 min period) for 9 days. The trial study on analgesic effects in human of new magnetic therapeutic instrument (Angel Touch®) were examined. We examined safety of MS based on electrocardiographic testing and body surface temperature. By using the heart rate on the electrocardiogram, we used FFT analyzer to analyze low frequency components (LH: 0.05 - 0.15Hz) and high frequency components (HF: 0.15 - 0.45 Hz). Muscle shoulder stiffness has been improved by the continued irradiation without a thermal action. Based on the present study, we suggest that MS has beneficial analgesic effects in human, and that MS will be a useful approach to treatment for neurodegenerative disorder because it may relieve pain via improvement of functional modulation of pain-emotional system.
著者
掛田 崇寛
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、代表的な甘味物質である蔗糖が誘発する鎮痛効果について探求することを目的に実施した。従来、蔗糖の甘味を利用した痛み抑制効果の検討は新生児領域では多く行われているに対して、それ以外の対象ではほとんど検討されていない。本年度は昨年に引き続き、成人を対象に、実験的疼痛による侵害受容刺激に対する蔗糖溶液の効果を検証した。実験的疼痛には、冷水を用いて痛みを誘発する方法、Cold Pressor Test (CPT)を用いた。被験者は2℃に維持された冷水中に手を浸すことで、痛み(冷痛)を感じた。使用溶液には24%蔗糖溶液と蒸留水(control)を用いて、各溶液による痛み反応の違いを検討した。各溶液はクロスーバーデザインを用いて被験者に無作為に割り付けた。その結果、蒸留水に比べて、蔗糖溶液を口に含んでいる時の方が有意に痛覚潜時(冷水中に手を浸けて痛みとして感じてまでの時間(秒))が延長した。また、蔗糖溶液は蒸留水に比べて、その味が有意に心地よいと評価されていた。よって、蔗糖の甘味刺激による鎮痛効果は新生児同様、成人でも一時的ではあるが得られることが明らかになった。また、この鎮痛機序には甘味による心地良さ、つまり情動への影響が鎮痛に関与している可能性がある。今後は成人を対象に得られた鎮痛効果が、どのような機序によってもたらされるかを検討する。また、甘味以外の味質を用いて、味刺激による痛みへの影響を検証する。以上から、本研究申請時における目標は全て達成された。