著者
撫原 恒平 宮崎 孝 黒田 一朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.318, pp.81-88, 1998-10-15

4並列SIMD命令を用い, 高速な4並列複素Radix-4 FFTを実装し, 性能を評価したので報告する.各段のバタフライ演算において, 連続した4個の入力データを1個のレジスタにパックし, 同一のシグナル・フローに従って演算することにより, 4並列演算を行った.最終段のバタフライ演算では, 4要素毎に4個の入力データを1個のレジスタにパックすることで4並列演算を行った.提案手法を4並列SIMD命令セットを持つV830Rプロセッサへ適用した結果, 既存の実装例に比べクロック数を35%削減できた.正負対称丸めつき積和演算命令が, 誤差の低減に有効であることも示した.
著者
中村 祐一 撫原 恒平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLDM, [システムLSI設計技術] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.134, pp.145-148, 2008-03-27

近年、組込みシステムの複雑化によって組込みソフトウエアの開発工数の長大化が問題となっている。この原因はコーディングの複雑化よりも、不具合の原因追求や性能品質の解析などの検証の問題と考えられている。しかし、組込みシステム本体は低コスト性が重要とされるため、そのシステム単体で動作する最低限の動作環境しか保持しておらず、問題の解析機能は保有していないのが一般的である。そのため、不具合や性能の解析やシ品質管理などは精度の低いシミュレータや、実機を利用したアドホック環境に実行せざるを得ず、効率が非常に悪かった。本稿では、組込みシステム側にリモートPCからの制御を代行するStubを常駐することにより、ネットワークで接続したリモートPCからStubを制御してコード品質解析を行うシステムを開発した。リモートPC上では統合開発環境であるEclipseのTPTPを経由してStubの制御、結果の表示などを行うため、効率のよいコード品質解析フローを構築可能である。今回、メモリ管理のValgrindとカバレッジ解析であるGcovを組込みシステム側で実行させ、Eclipse上のGUIで解析結果を表示するシステムを実装し、デバッグ環境が貧弱な組込みシステムに対してもエンタープライズ系と同じようなコード品質解析が可能であることを実証した。