- 著者
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石川 守
斉藤 和之
- 出版者
- The Japanese Society of Snow and Ice
- 雑誌
- 雪氷 (ISSN:03731006)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.6, pp.639-656, 2006-11-25 (Released:2009-08-07)
- 参考文献数
- 136
- 被引用文献数
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北半球全陸地の約6割に分布する凍土は,地球上最大規模の雪氷現象であり,様々な時空間規模での気候・水循環過程に関与していることは想像に難くない.しかしこれまで水文・気象学分野では凍土過程はブラックボックスとして取り扱われることが多かった.地球温暖化問題の顕在化を受け,これからは凍土過程に焦点を当てるとともに,凍土と水文・気象・気候学的現象との関わりを解明していくような研究を推進する必要がある.このような学際的な研究分野を創出するのに必要な知見として,本稿では凍土の構造や定義,活動層変動,活動層の水熱循環特性,活動層―大気間相互作用,流域規模から全球規模までのモデルを用いた凍土分布,などの研究成果をレビューする.将来的には,観測とモデルが有機的に結びつくような研究体制の構築が強く望まれる.これには,モデルを意識した広域的な観測体制を確立することや,観測で解明されつつあるプロセスを最適にモデル化することなどが含まれる.