著者
新 睦人
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.16-36, 2008-06-30 (Released:2010-04-01)
参考文献数
173

近代市民社会は,それが形成された歴史過程から,その内部に未熟な部分をかかえこみ,解放と抑圧のアンビヴァレントな性質をおびつつ今日まで成り立ってきた.その成熟過程で生じた反近代的,脱近代的,超近代的,没近代的,前近代的など,さまざまな思想上の言説は「ポストモダン」と概括されうる1つの思想傾向として現代社会の考察にさまざまな影響を与えてきた.(全体)社会を1つのシステムとして時代診断をする,マクロ社会学の立場からは,その思想像と歴史的に実在する近代社会像とを問うことが必要である.T.パーソンズは,ヨーロッパとアメリカの近代化が産業革命と民主革命,教育革命とアソシエーションを具現したと見た.富永健一は,日本社会の近代化を論じ,「近代産業社会」のモデルを一般化した.新睦人は,前期モダンと後期モダンとを区別し,情報化,経営化,国際化,大衆化の流れに変容したととく.金子勇と長谷川公一はマクロ社会学の視点から現代の9つの流れを追究した.特殊に現代的なもっとも社会学的なテーマは,厚東洋輔が「ハイブリッドモダン」として強調する「グローバリゼーション」の現実である.さらには,モダンの1つの位相でありながら後期モダンをも超えるような〈ポストモダニゼーション〉的な兆候が見えつつある.N.ルーマンのリスク化と環境,A.ギデンズのハイモダニティと監視化,Z.バウマンの流体化の論議は,そうした兆候を説いている.
著者
桜井 芳生 大山 小夜 新 睦人 片岡 栄美 加藤 源太 藤山 英樹 石川 洋明
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

延10回程度、ネットワークデータを収集できた。まずは、ネット形成の要因を分析した。就活意識、使える金、階層意識、化粧代の類似が、友人が形成されるさいに、大きな影響をもっていることが確認された。ネット構築後分析に関しても、Christakisらと同様、われわれは、「ネットワーク指標」以外の具体的タイ関係を重視して分析を継承した。当初の予想と異なって、いわゆるネットワーク指標、とくにボナチッチ中心性が大きな影響をもっていることが確認できた。また、恋愛、髪の色、幸福感、英語学習意識の伝播が確認できた。