著者
新海 明 新海 栄一
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.149-154, 2002 (Released:2007-03-29)
参考文献数
17
被引用文献数
3 5

ムツトゲイセキグモは日本にいる稀産の2種のナゲナワグモ類のうちのひとつである. 本報告は, 野外におけるムツトゲイセキグモの生活史, 若令幼体がもちいる餌捕獲法, および本種のメス成体や亜成体がもちいる「投げ縄」網の作成行動についてのはじあての観察記録である. ムツトゲイセキグモは年一世代の多回 (3-6回) 産卵のクモであり, ふ化した幼体は卵のう内でそのまま越冬した. 若令幼体とオスは投げ縄を使わず, 葉の縁で狩りをしていると考えられた. 亜成体と成体のメスは蛾を捕獲するために投げ縄を使用した. 投げ縄作成行動は, 投げ縄を第1脚のかわりに第2脚でもつ以外はナゲナワグモ属のものとまったく同一だった. ときどき, 2個の粘球がついた投げ縄を作ることがあった.
著者
新海 明 新海 栄一
出版者
日本蜘蛛学会
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-12, 1988 (Released:2007-03-29)
参考文献数
12
被引用文献数
7 10

ヨリメグモの網構造について調査した。このクモは流水面上に網を張り, 二つの型がみられた。一つは網の上部に支持糸を持った水平円網であり, 他の一つは基本的には水平円網だが, ヨコ糸が垂れ下がって水面に達しているために変形していた。そして, ヨコ糸と水面との接点には多くの細かい糸がみられた。ヨコ糸を張り終えたクモは, こしき部とヨコ糸との間においてタテ糸を切断し, それらのタテ糸をゆるめた。タテ糸がゆるめられると, 変形網のヨコ糸は流水上に浮遊するために, この網を浮遊網と名付けた。網の形は, 造網場所の条件に影響された。浮遊網は水面上の比較的低いところにみられたが, 水平円網は水のない場所や水面上の比較的高い場所にみられた。これらのことから, ヨリメグモは円網種に由来し, 流水環境に適応したクモであると考えられた。
著者
大利 昌久 新海 栄一 池田 博明
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.111-119, 1996-06-15 (Released:2016-08-23)
参考文献数
44
被引用文献数
16 16

The redback spider, Latrodectus hasseltii, is a common venomous spider in Australia. This species had not been recorded in Japan until late 1995. Large numbers of redback spiders were collected in Osaka City and in Yokkaichi City, Mie Prefecture, in November 1995. Another species of widow spiders, namely, the brown widow spider L. geometricus, was also collected in various ports : Yokohama, Tokyo, Nagoya, Osaka and in Okinawa. The author has reviewed current available information on widow spiders including the life cycle, reproduction, hunting behavior, systematics and distribution of each species, etc. The invasion route of these species into Japan is also discussed. The invasion of redback spiders into Japan apparently dates back several years as frequently old, empty egg sacs have been found. There is no information on how the redback spiders survived the winter season in Japan. Fortunately, so far in Japan no biting cases have been reported.
著者
新海 明 新海 栄一
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.9-17, 1985 (Released:2007-03-29)
参考文献数
17
被引用文献数
2 3

カラカラグモの網構造と餌捕獲行動を観察した。このクモの張る円網は大変ユニークであった。すなわち。網にはこしきがなく数本のタテ糸が中心付近でまとめられていた。クモは中心においてtrapline と呼ばれる1本の糸で網を支えているので網はちょうどカサをひっり返した状態になっていた。昆虫が網にかかるとこの糸は解き放たれ, そのため網は弾かれるように戻り昆虫を絡めてしまった。造網過程も調査した。この網は最初はこしきとこしき糸を持った典型的な円網と同じように張られるのだが, 後にその部分が噛み切られ無こしきとなった。この一連の造網過程はカラカラグモが円網を張るクモの祖先から生じてきたことを示唆している。
著者
新海 明 新海 栄一
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.149-154, 2002
被引用文献数
5

ムツトゲイセキグモは日本にいる稀産の2種のナゲナワグモ類のうちのひとつである. 本報告は, 野外におけるムツトゲイセキグモの生活史, 若令幼体がもちいる餌捕獲法, および本種のメス成体や亜成体がもちいる「投げ縄」網の作成行動についてのはじあての観察記録である. ムツトゲイセキグモは年一世代の多回 (3-6回) 産卵のクモであり, ふ化した幼体は卵のう内でそのまま越冬した. 若令幼体とオスは投げ縄を使わず, 葉の縁で狩りをしていると考えられた. 亜成体と成体のメスは蛾を捕獲するために投げ縄を使用した. 投げ縄作成行動は, 投げ縄を第1脚のかわりに第2脚でもつ以外はナゲナワグモ属のものとまったく同一だった. ときどき, 2個の粘球がついた投げ縄を作ることがあった.
著者
大利 昌久 新海 栄一 池田 博明
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.111-119, 1996
被引用文献数
10 16

The redback spider, Latrodectus hasseltii, is a common venomous spider in Australia. This species had not been recorded in Japan until late 1995. Large numbers of redback spiders were collected in Osaka City and in Yokkaichi City, Mie Prefecture, in November 1995. Another species of widow spiders, namely, the brown widow spider L. geometricus, was also collected in various ports : Yokohama, Tokyo, Nagoya, Osaka and in Okinawa. The author has reviewed current available information on widow spiders including the life cycle, reproduction, hunting behavior, systematics and distribution of each species, etc. The invasion route of these species into Japan is also discussed. The invasion of redback spiders into Japan apparently dates back several years as frequently old, empty egg sacs have been found. There is no information on how the redback spiders survived the winter season in Japan. Fortunately, so far in Japan no biting cases have been reported.