著者
旭 敏之 岡田 英彦 井関 治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.1204-1213, 1997-06-15
被引用文献数
2

製品のユーザビリティを向上させるにはその評価が不可欠であるが,従来の方式では実施上の制約が多い.本論文では,ユーザの対話履歴分析をベースとするユーザビリティ評価支援システム「UIテスタ」を提案し,評価機能の有効性を検証する.UIテスタではユーザ対話履歴とユーザインタフェース構造との差異を検出することで,ユーザビリティ問題点の抽出を支援する.このため,対話履歴の視覚化方式である対話構造ダイアグラムと,複数ユーザ間に共通する誤対話パタンを抽出する共通誤対話分析機能を提供した.実用性と問題点抽出能力の2側面から本機能の有効性を検討した.前者の検証のため,実際のファクシミリ製品を対象にしたユーザビリティ評価を実施した結果,評価の非専門家1人が18人分の対話履歴データを約8時間で分析することができた.抽出された9項目の問題点のうち,5項目を出荷前の改善することができ,製品開発サイクルにおける実用性を実証した.また問題点抽出能力検証のため,ヒューリスティック技法で同じ対象を評価し,抽出された問題点を比較した.全体の問題点のうち,UIテスタで非専門家で抽出できたものが1/3,誤対話パタンを手がかりとして抽出可能なものは6割程度であることが分かった.本結果をベースに,UIテスタの機能強化やユーザビリティ評価方法論の確立に取り組んでいく.Usability testing methods are necessary for insuring the usability of product.Traditional methods,unfortunately,have some disadvantages,To overcome these disadvantages,this paper proposes a computer aided usability testing tool named "UI-tester" which evaluates usability by analyzing user-machine dialogue data.A dialogue visualization technique called dialogue structure diagram and a common erroneous pattern extraction function are provided for usability anlysis.Effectiveness of the functions are verified from the viewpoint of practical value and problem extrction capability.Data from a feasibility study being conducted for a facsimile product development project shows that the evaluation functions work effectively in extracting nine usability problems,and that user interface redesigns are completed without additional delays in the product development cycle.Comparison of the testing results from those of the heuristic evaluation method shows that 1/3 of the usability problems can be extracted with UI-tester,and that the erroneous dialogue patterns indicate more than 60% of the problems.Research plan includes improvement of usability analysis functions and establishment of usability testig methodology.
著者
広明 敏彦 旭 敏之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.261-262, 1992-02-24
被引用文献数
4

近年の高速通信ネットワークの整備や通信技術の進歩により動画像を含む情報の伝送が一般化してきた。動画像は通信における臨場感を向上きせ面談会議に近い環境を生み出す次世代の通信基盤として期待されてきた。しかし、現状のテレビ会議システムなどでは対面感覚に乏しいなどの問題が指摘されている。通信機器を意識ぜず面談会議のような感覚を生み出す通信形態は一般に「臨場感通信」と呼ばれている。だが、臨場感を効果的に向上させるのはどの情報なのかなど不明な点が多く臨場感自体の定義も曖昧である。本研究では通信機器を介在した人と人とのコミュニケーションにおいて円滑な意志疎通が行える通信環境の構築を目標としている。本報告ではまず多地点動画像通信に注目し、通信環境として立体画像を用いずに半透鏡と平面画像を利用した画像表示方式を提案する。
著者
和氣 早苗 旭 敏之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.71-72, 1996-03-06
被引用文献数
1

近年のマルチメディア化の動きに伴い,ソフトウェアにも頻繁に音が利用されるようになってきた.それに伴い,効果音データの需要も高まる傾向にあり,効果音データ集もCDやCD-ROM等で提供されるようになってきた.しかし,データ集から音を選ぶには,音の題名や説明文などを手がかりとして一つ一つ音を聞きながら目的の音を探さなければならないのが現状である.音は複数のデータを一度に聴取することができないため,データ量が多くなるに伴いこの作業も多大となることが問題である.
著者
和氣早苗 旭 敏之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告, IM
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.7-12, 1997
被引用文献数
3

誰でも簡単に,自分のほしい音を得ることができるツールの開発を目的とし,音検索システムと音編集システムを開発した.音検索システムでは,すでに報告した心理的実験に基づき,擬音語,音源名,主観,という音を表現する3種類のキーワードを用いて検索することとした,そのうちの擬音語検索では,擬音語の表現/表記のゆれに対応するため,擬音語間の類似度を評価する方式を提案する.音編集システムでは,口まねで入力した音声を教師音とし,対象音の振幅およびピッチエンベロープを加工する.