- 著者
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昆野 安彦
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.1, pp.25-32, 2006-02-25
- 被引用文献数
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大雪山国立公園の白雲岳(2,240m)高山帯においてウラジロナナカマド,ウコンウツギ,チシマノキンバイソウに訪花したハエ目とハチ目の多様性を調べた.その結果,全調査の合計で9科35種317個体のハエ目とハチ目が得られた.内訳はハナアブ科が21種204個体,オドリバエ科が1種7個体,クロバエ科が1種2個体,ハナバエ科が2種52個体,ヒメハナバチ科が2種5個体,コハナバチ科が1種19個体,ミツバチ科が3種17個体,ハバチ科が2種4個体,コンボウハバチ科が2種7個体で,人雪山高山帯では訪花昆虫としてハエ目が優占し,とくにハナアブ科が種数,個体数ともに優占していることが明らかになった.高山植物別に見ると,ウラジロナナカマドとウコンウツギではハナアブ科が優占していたが,チシマノキンバイソウではハナバエ科が優占していた.種多様度(1/D)はウコンウツギが9.7でもっとも高く,ウラジロナナカマドとチシマノキンバイソウではそれぞれ7.2と3.9であった.高山植物間の種構成の類似度指数(QS)はウラジロナナカマドとウコンウツギでは0.71と高い値を示したが,ウラジロナナカマドとチシマノキンバイソウでは0.28,ウコンウツギとチシマノキンバイソウでは0.32とそれぞれ低い値を示した.ウラジロナナカマドについては赤岳(2,078m)でも調査を行ったが,白雲岳との種構成の類似度QSは0.55であり,同種の花であっても調査地点が異なると訪花昆虫の種構成が異なることが明らかになった.大雪山高山帯への侵入が警戒されているセイヨウオオマルハナバチについては採集も目撃もできなかった.