著者
曹 徳弼 圓川 隆夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.321-330, 1998
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は多期間配送スケジューリング問題において, 車両台数や時間(資源)を一定にしたもとで, その利用率を最大にすることにより在庫や欠品削減を図る資源利用率最大化問題を提案するものである.具体的には1つのデボがN個の小売店に商品を供給する場合の多期間配送計画問題を考え, 週末に需要が高くなるような周期的に変動する需要に対して, 与えられた資源の利用率を最大化するとともに, 小売店における在庫水準と欠品率を最小限に押さえるための多期間配送計画モデルを構築し, その解法を提案した.提案したモデルおよび解法の有効性を検証するために, 自動販売機の実データとFTPサイトからのテストデータを用いて現状法および従来法を比較対象に数値実験を行った.その結果, 時間の利用率は最大99.67%まで上げるとともに, 平均最大在庫, 平均在庫, および欠品率を最大17.35%, 25.7%, および14.77%それぞれ削減でき, 資源利用率最大化の効果が表れた.
著者
曹 徳弼 圓川 隆夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.321-330, 1998-02-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は多期間配送スケジューリング問題において, 車両台数や時間(資源)を一定にしたもとで, その利用率を最大にすることにより在庫や欠品削減を図る資源利用率最大化問題を提案するものである.具体的には1つのデボがN個の小売店に商品を供給する場合の多期間配送計画問題を考え, 週末に需要が高くなるような周期的に変動する需要に対して, 与えられた資源の利用率を最大化するとともに, 小売店における在庫水準と欠品率を最小限に押さえるための多期間配送計画モデルを構築し, その解法を提案した.提案したモデルおよび解法の有効性を検証するために, 自動販売機の実データとFTPサイトからのテストデータを用いて現状法および従来法を比較対象に数値実験を行った.その結果, 時間の利用率は最大99.67%まで上げるとともに, 平均最大在庫, 平均在庫, および欠品率を最大17.35%, 25.7%, および14.77%それぞれ削減でき, 資源利用率最大化の効果が表れた.
著者
圓川 隆夫 曹 徳弼
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.501-509, 1994-02-15
被引用文献数
5

本研究では, 多段階のロジスティクスシステムにおいて, 理想的なロジスティクス, すなわち, ジャスト・イン・タイムを阻害している要因として, リードタイム, 需要の不確実性の大きさ, 意思決定段階数の3つを取り上げ, システム平均在庫を尺度として, これら3つの阻害要因とシステム平均在庫との関係およびその相乗的効果を定量的に示すものである.そのために, 情報の利用形態により, 独立型, 情報共有型, および統合型の3つのタイプのモデルについて, サービス水準が同一のもとでのシステム平均在庫の定式化を行うとともに, その効果の評価を行った.その結果, リードタイム等の条件の障害が大きいときほど情報の共有化による在庫削減効果が大きいこと, さらにリードタイムについて, サイクルリードタイムと補充リードタイムに概念区分をした上で, その中のボトルネックとなるサイクルリードタイムの削減が最も本質的な意味をもつことを示唆した.
著者
曹 徳弼
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.372-379, 2000-10-15

需要の変動はトレンド(線形と非線型), 周期変動(季節変動含む), およびばらつきに分類することができる.トレンドや周期が一定である場合には予測モデルを用いてそれを抽出することができ, ばらつきは安全在庫で対処すればよい.また, トレンドや周期がダイナミックに変化する場合には予測モデルを逐次修正する方法と安全在庫をダイナミックに変化させる方法が考えられる.本研究では予測モデルの修正(予測モデルの再同定, バラメータの再推定, 再学習など)に手間がかかことや, バイヤス発生の確認が遅れることなどを考慮し, 予測モデルを逐次修正する方法の補助的な方法として, 過去一定期間における予測誤差の平均とばらつきに基づいて安全在庫をダイナミックに変化させる方法を提案した.提案法の有効性を検証するために本研究では, 単段階在庫システムにおいて移動平均法に基づいて需要予測を行う発注点方式を対象に, 異なる4つの需要パターンのもとで, 需要が安定していることを想定して安全在庫を計算する方法(方法A), 理想的な予測手法を想定して安全在庫を計算する方法(方法B), および予測のバイアスの存在を無視して安全在庫を計算する方法(方法C)など3つの方法と, 平均在庫水準および欠品率を評価基準に比較実験を行った.その結果, 需要のパタンが変化する場合には提案法がA, C両方式に比べて平均在庫をそれぞれ50%近く削減し, 提案法の有効性が示された.また, B方式は提案法より平均在庫が少なく, パターンの変化を素早くキャッチする予測手法の確立が大変重要であることを確認できた.