著者
圓川 隆夫 鈴木 定省 フランク ビョーン
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、現在多くの企業が目標としているCS(顧客満足度)について、世界ではじめて同一尺度による先進国、新興国からなる8つの国・地域での15の製品・サービスを対象としたCSを含むCS関連指標のデータベースを構築し、CS関連指標の国の文化、そして経済状況の影響と、CS関連指標間の因果メカニズムの違いを実証的に検証したものであり、グローバル化したマーケティングや品質設計に多くの示唆を与えるものである。
著者
池庄司 雅臣 圓川 隆夫
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.388-397, 2004-10-15
被引用文献数
2

顧客満足度の企業のマーケットシェアや財務的な経営成果への定量的関係を把握するためには,顧客満足度の時系列的な測定が必要であるとともに,顧客満足度の性質やその生成メカニズムについて考察しておく必要がある.顧客満足度は,その調査の様式や形式によってモナディク指標と累積指標の2つに分類される.前者の指標については,わが国における耐久消費財を対象とした顧客満足度の代用指数の経年的な調査から,顧客満足度の大きさが株価に代表される時代の景気感と強い負の相関をもつことが示されている.本研究では後者の代表的な指標であるACSIを用いて,その生成メカニズムを踏まえた上で仮説を設定し,国家および産業セクター別における景気感との関係を分析することを目的とする.その結果(1)ACSIにおいてもその平均的大きさとダウ平均株価などの経済指標との間には,モナディク指標に比べて弱いものの有意な負の相関関係があること(2)さらに産業別ではスィチングコストの高い産業では特に負の相関が強く,それが低く企業間の競争が激しい産業ではその傾向が弱まることを明らかにした.最後にこの結果を踏まえて景気感による影響を考慮することで,ACSIと企業の経営成果の関係がより鮮明化する分析事例を示す.
著者
曹 徳弼 圓川 隆夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.321-330, 1998
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は多期間配送スケジューリング問題において, 車両台数や時間(資源)を一定にしたもとで, その利用率を最大にすることにより在庫や欠品削減を図る資源利用率最大化問題を提案するものである.具体的には1つのデボがN個の小売店に商品を供給する場合の多期間配送計画問題を考え, 週末に需要が高くなるような周期的に変動する需要に対して, 与えられた資源の利用率を最大化するとともに, 小売店における在庫水準と欠品率を最小限に押さえるための多期間配送計画モデルを構築し, その解法を提案した.提案したモデルおよび解法の有効性を検証するために, 自動販売機の実データとFTPサイトからのテストデータを用いて現状法および従来法を比較対象に数値実験を行った.その結果, 時間の利用率は最大99.67%まで上げるとともに, 平均最大在庫, 平均在庫, および欠品率を最大17.35%, 25.7%, および14.77%それぞれ削減でき, 資源利用率最大化の効果が表れた.
著者
フランク ビョーン エルバス トッリコ ボリス 圓川 隆夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.201-209, 2013-01-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
17

グローバルな競争が加速される中,ホフステードによる国の文化次元とそのスコアによる消費者態度への影響の研究が多くある.日本人の文化的特徴として不確実性回避が高く,それがCS(顧客満足度)等の品質評価について厳しい態度に結びついていることが知られている.しかしながら,それは国の平均値としての傾向であり,消費者個人の文化性向としての不確実性回避の影響については必ずしも明確な結論は得られていない.そこで,本研究では,10の製品・サービスを対象とした消費者のCSおよびその先行要因指標(知覚品質,知覚価値,企業イメージ)と不確実性回避の文化性向を測定することによって,不確実性回避の消費者態度の影響メカニズムの解明を目指すものである.その結果,不確実性回避は直接CSに影響を与えるよりも知覚品質等の先行要因指標を通して間接的に負の影響を与える,さらにその傾向はサービスよりも製品で顕著であることを示した.このような結果は,個人の文化性向が市場セグメント変数として有効であるとの新たな知見を与えるものである.
著者
曹 徳弼 圓川 隆夫
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.321-330, 1998-02-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は多期間配送スケジューリング問題において, 車両台数や時間(資源)を一定にしたもとで, その利用率を最大にすることにより在庫や欠品削減を図る資源利用率最大化問題を提案するものである.具体的には1つのデボがN個の小売店に商品を供給する場合の多期間配送計画問題を考え, 週末に需要が高くなるような周期的に変動する需要に対して, 与えられた資源の利用率を最大化するとともに, 小売店における在庫水準と欠品率を最小限に押さえるための多期間配送計画モデルを構築し, その解法を提案した.提案したモデルおよび解法の有効性を検証するために, 自動販売機の実データとFTPサイトからのテストデータを用いて現状法および従来法を比較対象に数値実験を行った.その結果, 時間の利用率は最大99.67%まで上げるとともに, 平均最大在庫, 平均在庫, および欠品率を最大17.35%, 25.7%, および14.77%それぞれ削減でき, 資源利用率最大化の効果が表れた.
著者
徐 景 池庄司 雅臣 圓川 隆夫 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.726, pp.33-38, 2002-03-12

駅などでPHS基地局の無指向性アンテナから移動体で受信電界強度を測定した位置検出システムでは異なるプラットホーム上の基地局からの信号が該当プラットホームの基地局からの信号より高い場合はプラットホームを間違えてしまい、同じプラットホーム上の電波よりも異なるプラットホーム間からの電波がもっと強い場合が多いので低い精度を表した。それで、本研究では異なるプラットホーム上の基地局からの干渉を抑制するために指向性アンテナを利用した方式を提案する。その方式では電波吸収剤を用いて基地局アンテナに指向性を持たせることで不要な干渉を抑えることができるものである。そして、駅での高精度な位置測定が可能になり、利用者の不要な音声、データ通信ができ、移動制約者に正確なホームを識別させ、目的地までの経路案内ができる。この提案方式の有効性を確認するため、実際のJR高崎駅の構築された実験システムを想定し、計算機シミュレーションを行ない、提案方式が不要な干渉を抑え、さらに、位置検出精度も高いことが示されている。
著者
圓川 隆夫 曹 徳弼
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.501-509, 1994-02-15
被引用文献数
5

本研究では, 多段階のロジスティクスシステムにおいて, 理想的なロジスティクス, すなわち, ジャスト・イン・タイムを阻害している要因として, リードタイム, 需要の不確実性の大きさ, 意思決定段階数の3つを取り上げ, システム平均在庫を尺度として, これら3つの阻害要因とシステム平均在庫との関係およびその相乗的効果を定量的に示すものである.そのために, 情報の利用形態により, 独立型, 情報共有型, および統合型の3つのタイプのモデルについて, サービス水準が同一のもとでのシステム平均在庫の定式化を行うとともに, その効果の評価を行った.その結果, リードタイム等の条件の障害が大きいときほど情報の共有化による在庫削減効果が大きいこと, さらにリードタイムについて, サイクルリードタイムと補充リードタイムに概念区分をした上で, その中のボトルネックとなるサイクルリードタイムの削減が最も本質的な意味をもつことを示唆した.
著者
山本 祐子 圓川 隆夫
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 = Journal of Japan Industrial Management Association (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.143-152, 2000-06-15
被引用文献数
8

多くの産業が成熟期を迎えた今日, 企業は既存顧客の維持に重点を置いている.その一環として顧客満足度(CS)の測定は基本であり, 多くの企業が, 満足度を高めることで顧客が再び買いたいと思う意志や行動であるロイヤリティを高めようとしている.しかし, そこには「ロイヤリティ=CS」という前提が暗黙の内に存在しており, これが顧客心理を反映しているかは実際には疑問が残る.そこで本研究は, 顧客がロイヤリティを決定付ける要因の構造をアンケート調査により検証し, 「ロイヤリティ=CS」という関係の妥当性を探ることを目的とする.その上で, CSがロイヤリティに及ぼす影響の程度や傾向を複数の製品・サービスについて検討する.