著者
佐藤 憲昭 阿曽 尚文 三宅 和正
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.192-195, 2002-03-05 (Released:2011-02-09)
参考文献数
14

超伝導体における遍歴電子は引力相互作用によって互いに束縛されクーパー対を形成している. 通常の超伝導体でグルー (接着剤) の役割を果たしている準粒子はフォノンであるが, 磁気秩序と超伝導が共存する不思議な化合物であるUPd2Al3におけるグルーは一体何であろうか? 本稿では磁気励起子と呼ばれる磁気モーメントの集団運動が超伝導引力を媒介していることを示す.
著者
佐藤 志以樹 大井 龍司 松本 勇太郎 曽 尚文 浜田 千枝 岩見 大二 Mohamed Ibrahim 千葉 庸夫
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.939-944, 1994-08-20 (Released:2017-01-01)

最近我々は, Gross-C 型先天性食道閉鎖症術後15年目に発見されたTEF再開通例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は15歳男児.昭和49年,8月,在胎41週,正常分娩にて出生,出生時体重2,800gであった.生直後よりチアノーゼを認め生後3日目,先天性食道閉鎖症 Gross-C型の診断にて一期根治術を施行した.昭和63年1月より鰓弓症候群の診断にて,延べ3回に渡り当院形成外科で全麻下の手術を受け,術後に左下葉の肺炎,無気肺の経過を繰り返したため当科紹介となった.食道造影にて, Th6 の高さでの TEF 再開通を発見された.術前, TEF 内に留置したガイドワイヤーを指標に剥離を進め, TEF を切離した.気管側を1層に,食道側を2層に縫合閉鎖した.食道と完全に遮断するため,気管側の TEF 閉鎖部に Gore-tex patch をあて良好な結果を得た.教室での経験例を合せて報告した.
著者
佐藤 憲昭 網塚 浩 山村 朝雄 芳賀 芳範 四竈 樹男 阿曽 尚文 神戸 振作 本間 佳哉 藤森 伸一 山上 浩志
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題の最大の目的は、国際規制物資であるウランなどのアクチノイド元素^<*1>を含む化合物の物性研究を行うための拠点を東北大学金属材料研究所アルファ放射体実験室に形成することである。 この目的のために、 単結晶育成^<*2>のためのテトラアーク炉、および育成された試料の基礎物性を評価するための分析装置を金研アルファ放射体実験室に設置・導入した。その結果、 "超伝導を示す磁石"^<*3>における超伝導発現機構の解明に成功を収めた。さらに、アクチノイド元素だけでなく希土類元素^<*4>を含む物質にも研究を展開し、準結晶^<*5>を含む新分野の開拓に貢献した。[*1] ウランなどは国際規制物資として管理され、その取り扱いには厳しい制限が付されている。金研アルファ放射体実験室は、このような国際規制物資を取り扱うことが許可された施設である。 また、 そこには、 アクチノイド元素(周期表で最下段に位置する元素の集合で、トリウム、ウラン、ネプツニウムなどから成る)を安全にハンドルするための多くの装置と経験が蓄積されている。[*2] 目に見える大きさのスケールまで原子が規則正しく配列した結晶を単結晶と呼ぶ。[*3] 従来の物理学では、磁石と超伝導は犬猿の仲であり、磁石は超伝導にはならないと考えられてきた。しかしアクチノイド化合物の中には、磁石でありながら超伝導を示すものがある。磁石が何故超伝導を示すかという問題は、物理学上の重要な課題の 1 つとなっている。[*4] 周期表でアクチノイドの上段に位置する元素の集合で、アクチノイドと類似の性質を示す。[*5] 周期性を持たず、結晶では許されない回転対称性を持つ物質を準結晶と呼ぶ。