4 0 0 0 OA 共生論再考

著者
曽和 信一
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.5-15, 2015-05

本稿では、まず「鶴女房」を素材として、鶴の恩返しと恩送りの問題から出立した。等価交換と密接に関連した「恩返し」と贈与交換と連関した「恩送り」という考え方について、等価交換と贈与交換のバランスをとっていくことの必要性について考察した。それに次いで、「無縁・公界・楽」と「アジール」について論じたが、孤立(死)と関わった無縁社会とは異なり、もうひとつの無縁社会について、網野善彦氏と阿部謹也氏の所論を踏まえて言及したところである。そして、「鶴女房」という民話を題材にして、『夕鶴』という民話劇に翻案した木下順二氏の創作の内実を検討するとともに、現代社会が抱える自然と人間、人間と人間の「共生」というアポリアな課題について考察したところである。
著者
泊 祐子 堀 智晴 曽和 信一 早川 淳 又賀 淳
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.2_9-2_18, 1987-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
18

本研究は,自宅分娩時代の産婆の仕事を検討することにより,地域で果たしていた役割を明らかにすることを目的とした。 方法は兵庫県但東町にお住まいの大正末期から昭和の初めにかけて開業を始めた3人の産婆からの聴取り調査により行った。 自宅分娩時代は,産婆と産婦との付き合いは長く,産婆は産婦の家などの環境についても良く知っていたし,過去の妊娠歴などの情報も豊富に持っていた。そのため産婦への援助は情報量に対応して個別性が図れた。そして,産婦側でも産婆が自分について知ってくれているので,すぐに相談も可能であり,精神的な安定につながっていたと思われる。 妊娠・出産・育児は決して母親1人に任せることではなく,家族・地域の人達・医療関係者などが協力し合う中でなされることではないだろうか。そのためにも地域の機能の活性化が必要であろう。
著者
曽和 信一
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.6-23, 2012-05

本稿では、東日本大震災で多くの人名と財産を失い、その震災に伴う東京電力福島第一原発事故により、今なおその被災地域において、復興の目途を立てるには厳しい状況にある。そのような状況にあればこそ、村上龍氏の言う「生きる喜びのすべて」を賭して、復興に向けての「希望」とは何かを考えることから出立した。今回の福島原発事故によって、まさにプロメテウスによって人間に与えられたといわれる原子力という火は、ダモクレスの剣に喩えられるように、一見文明の繁栄をもたらすように見えても、実は不安定なものであることが白日の下に晒されたことについて言及した。それに次いで、将来に希望が持てる人と絶望している人とを引き裂く希望格差社会の抱える問題について、フリーターという社会的立場から切り込む赤木智弘氏の論稿をベースにして考えをめぐらした。そして、古市憲寿氏は社会学的な方法でもって、「絶望の国の幸福な若者たち」のおかれているリアルな状況の一断面を提示した。それらの所論を踏まえて、将来への希望をつなぎ、具体的な展望を紡いでいく社会科学としての希望学について論及した。その希望学に触発されつつ、ルイ・アラゴンとパウロ・フレイレの提起した教育の希望とは何かについて考えた。それに次いで、児童福祉法要綱案という児童福祉法と名づけてた最初の案の中で、子どもの福祉における"歴史の希望"と明記された文言の意味についても考察したところである。
著者
曽和 信一
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.7-17, 2011-05

本稿では、まず荘子の説く主要なキー概念のひとつである無用之用と万物斉同とは何かについて触れた。その概念を戦後のわが国の障がい児の「福祉と教育」の草分け的存在である糸賀一雄と、その理念を発展的に継承した伊藤隆二氏の言説と関わって展開した。それに次いで、障害学について考察する前提として、わが国の障害学の形成に影響を与えた青い芝の会とIL運動という障がい者の運動について言及した。そして、障害学について論及していく際に、その理論的な枠組みに大きな影響を与えた先行研究のひとつとして、カルチュラル・スタディーズとは何かについて論じたうえで、その研究の視点から、障害学とは何かということについて言及したところである。
著者
曽和 信一
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.43-54, 2009

本稿では、障害者自立支援法という名の"自立阻害法"を強いる「この国に生まれたる不幸」と「この病を受けたるの不幸」の"二重の社会的不幸"を繰り返さないために、現在どのようにすればよいのかが問われている。そのために、支援費制度から障害者自立支援法へと移行した現行の法制度を批判的に考察していくことにする。しかし、批判に留まれば障がい者問題の解決に向けての今後の新たな展望を切り開くことは困難であろう。その意味で、新たな法制度の確立に向けて取り組むものとして、DPI日本会議を中心としてその検討作業を進めている障害者差別禁止法(案)の問題について論及したところである。
著者
曽和 信一
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.63-72, 2008

2007年3月に、障がい者の人権侵害を許さず、その人権の保障を国連に加盟する諸国家に課すために、「障害のある人の権利に関する条約(障害者の権利条約)」の署名式が行われ、多くの国が署名した。わが国の政府は同年9月にその条約に署名したが、批准には至っていない。本稿では、障害者の権利条約の成立の過程で、障がい当事者やNGOが積極的に関与し、条約の内容面で大きな影響をもたらしたことの意味するものについて論及した。また、1975年に障害者の権利宣言が出されてから、32年の星霜を重ねて、その宣言内容を拡充深化するとともに法的拘束力をもたせた障害者の権利条約の成立に至るまで、国連の障害者問題への取り組みについて検討した。そして、紆余曲折を経て成立したその権利条約の何が問われているのかを明らかにするとともに、その条約に関連する国内法を整備したうえで、その速やかな批准の必要性について言及した。